エチレン非依存性花きの老化を制御する新規遺伝子の特定

要約

EPHEMERAL1遺伝子は、アサガオ花弁のエチレン非依存的な老化を制御しており、本遺伝子の発現を抑制することで、花弁の老化を遅延することができる。

  • キーワード:エチレン非依存性花き、老化、アサガオ
  • 担当:加工流通プロセス・品質評価保持向上
  • 代表連絡先:電話 029-838-6801
  • 研究所名:花き研究所・花き研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

切り花では日持ちの良さが強く求められている。花弁の老化にエチレンが関与する花きでは、エチレンの作用を阻害することで日持ちを延ばすことができる。一方、ユリやチューリップなどの切り花では、エチレン阻害剤を処理しても日持ちを延長することができない。これらの、花弁の老化にエチレンが関与しない花き(エチレン非依存性花き)では、エチレンによる調節とは別に、開花後の時間経過(加齢)に伴い花弁の老化を制御する機構があると考えられている。本研究では、エチレン非依存的な老化を示すアサガオ(品種「紫」)を用いて、花弁の老化を制御する遺伝子の特定を行う。

成果の内容・特徴

  • アサガオ花弁の老化時に発現量が増加する遺伝子の一つとして選抜したEPHEMERAL1(EPH1)遺伝子は、転写因子タンパク質をコードしている。
  • 野生型「紫」の花弁は、開花後平均約13時間でしおれ始めるが、EPH1遺伝子の発現を抑制した形質転換体では、しおれ始めるまでの時間が約24時間に延びる(図1、2)。
  • 野生型の花弁におけるEPH1遺伝子の発現量は、エチレン作用阻害剤(1-MCP)を処理した花でも、無処理の花と同様に老化に伴い増加する(図3)。
  • EPH1発現抑制形質転換体の花弁では、プログラム細胞死(細胞の自発的な死)の指標であるDNA断片化の進行が遅延する(図4)。また、EPH1発現抑制形質転換体では、細胞死に関連する複数の遺伝子の発現が抑制される。
  • 以上から、EPH1遺伝子はアサガオ花弁においてエチレン非依存的な老化を制御している。

成果の活用面・留意点

  • 人工気象室内(24°C、相対湿度70%、光強度100 μmol m-2 s-1、12時間日長)で栽培した結果である。
  • 効果的な日持ち延長技術がないエチレン非依存性花きにおいて、新しい品質保持技術の開発につながる。

具体的データ

図1~4

その他

  • 中課題名:農畜産物の品質評価・保持・向上技術の開発
  • 中課題整理番号:330a0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2014年度
  • 研究担当者:渋谷健市、清水圭一(鹿児島大農)、仁木朋子、市村一雄
  • 発表論文等:
    1)Shibuya K. et al. (2014) Plant J. 79(6):1044-1051
    2)渋谷ら「花弁の老化遅延法」 特開2014-79219 (2014年5月8日)
法人番号 7050005005207