リンゴの早期落果程度と摘果剤カーバリルの効果との関係

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要約

成果の内容・特徴

  • 技術・情報の内容及び特徴
     1. この摘果剤は効果が比較的マイルドで、果実の肥大に対しても悪影響がないので、 諸外国のリンゴ産地では広く使用されている。しかし、中心果だけを利用する我が国 では、ときには中心果が過剰に落果することがあるため、これまで使用が一部に 限られていた。我が国でもこの摘果剤を安定的に使用するためにはさらに作用性を 解明することが必要である。
     2. 5年間の摘果効果を検討し、カーバリル(NAC)を使用したときの中心果の落果程度が、 若干の例外品種を除いて、自然に発生する早期生理落果率の10%~20%増の範囲に あることを明らかにした。この結果から、早期生理落果が50%を越える品種または 環境条件下では、中心果の過剰落果の可能性が高くなると考えられる。なお、 例外品種として、‘スターキング・デリシャス’は摘果剤使用による落果率の増加が 30%を超え、ほかの品種より過剰落果になりやすいことが認められ、一方、‘あかね’ に対してはこの薬剤は摘果効果が殆どないことが明らかになった。
     3. 側果は自然の早期落果が多いため、摘果剤による落果の増加はむしろ中心果より 少なかったが、摘果効果は中心果と差がないことが認められた。
    技術・情報の適用効果
    早期落果の発生程度を予測することによって、年度または地域の過剰落果の発生確率を 推定できる。また、今後、生産が増加する新品種については、早期落果の発生程度及び 摘果剤による落果率の増加程度を明らかにすることによって、安全に使用できるか どうかを判定できる。今後、早期落果の多少を正確に予測する方法を開発する必要が ある。
  • 適用の範囲
    リンゴ全般
  • 普及指導上の留意点
    確率論に基づく結果であるので、その点を留意する必要がある。

具体的データ

表 11品種におけるカーバリル(NAC)剤の摘果効果(5年間の平均落果率)

その他

  • 研究課題名:リンゴの摘果(花)剤の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :昭和56~平成2年
  • 発表論文等:果樹試験場報告19号