カンキツ新品種'天草'

要約

カンキツ新品種‘天草’は,‘T-378’(‘清見’ב興津早生’)に‘ページ’を交雑 して育成したタンゴールである。‘清見’に比べ減酸が早く,果面が赤橙色で美しい。通常,無核性で食味良好。適熟期は12月下旬~1月上旬である。

背景・ねらい

‘清見’は昭和54年(1979)に公表された品種でその風味の良さが消費ニーズに適合し,現在1万t余りの生産量があり,更に増産の傾向にある。しかし,減酸が遅く,3月まで樹上に果実を残せる暖地でないと露地栽培は困難である。また,改良すべき点として,剥皮性の付与と外観の改良が指摘されている。そこで,減酸が早く,早期に食味良好で,剥皮性があり,外観がより優れたタンゴールタイプの生食用カンキツを育成目標とした。

成果の内容・特徴

  • 昭和57年(1982)に果樹試験場口之津支場において‘T-378’(‘清見’ב興津早生’)に‘ページ’を交雑して育成された交雑実生品種で,系統名は‘口之津16号’である。
  • 第6回系統適応性・特性検定試験で検討され,平成5年(1993)7月16日に‘天草’と命名され‘タンゴール農林5号’として登録・公表された。
  • 果実は200g位で玉揃いは良。果形は扁球形。果皮は薄く,赤橙色を呈し,滑らかで美しい。香りも良い。肉質は柔軟多汁で,じょうのう膜が薄く,苦味は無い。適熟期は12月下旬~1月上旬で,食味は良好。単為結果性が強く,通常は無核性である。
  • 樹勢は中程度で,樹姿は開張性。かいよう病,そうか病には罹病性であるが,ウンシュウミカン並かやや弱い程度で栽培性は優れている。

成果の活用面・留意点

‘清見’の欠点である減酸の遅い点が改良されたうえ,外観が赤橙色で美しいことが特徴の品種で,寒害の回避が容易な品種として普及が期待できる。

生育期の強風により,かいよう病が発生する危険があるので防風対策が肝要である。

果皮が退色するので防止対策または販売上の工夫が必要である。また,後期落果,果皮の老化による果梗部の亀裂が認められるので,採収適期を把握することが必要である。

単為結果性が強く無核性であるが,他家受粉により含核数が増大するので,花粉稔性の高い他品種との混植は避けた方が良い。

栽培適地は生育期の強風が無く,温暖な所である。

具体的データ

写真1.カンキツ新品種‘天草’ 写真2.カンキツ新品種‘天草’

 

表1  ‘天草’の果実特性(1992)

 

表2  ‘天草’及び対照品種の果実品質の経時的変化(口之津)

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:中晩生カンキツの新品種育成
  • 研究期間・予算区分:昭和57年~平成4年・経常
  • 研究担当者:奥代直巳,松本亮司,生山巌,山本雅史,浅田謙介,山田彬雄,池宮秀和,村田広野,小泉銘冊,岩波徹,吉永勝一
  • 発表論文等:カンキツ新品種‘天草’,園学雑,62(別2),1993