根の水透過係数とTR率によるカンキツ台木の早期選抜法

要約

カンキツ台木の根の水透過係数(水の通しやすさ)とTR率及び樹勢との間には密接な関係がみられ,水透過係数が高いほどTR率が高く,樹勢も強かった。このことは台木の幼苗時から認められ,実生のTR率及び根の水透過係数で台木としての強弱を推定でき,台木の早期選抜に利用できることが示唆された。

背景・ねらい

カンキツ栽培においては,樹勢の調節が重要な課題の一つである。特に,台木を利用した樹勢調節法は,その有用性が注目されている。しかし,カンキツの台木による樹勢制御機構は不明であるのみならず,優良台木の早期選抜法も開発されていない。そこで、台木による樹勢制御機構の解明と,優良台木の早期選抜法の開発を目指して研究を行った。

成果の内容・特徴

  • TR率(地上部重/地下部重)は,樹勢が強く樹冠容積の大きい台木で高かった(表1)。この傾向は,台木品種の1年生幼苗時にすでに認められた(表2)。
  • TR率が低い台木ほど蒸散流に対する根の抵抗の比率が高かった(図1)。
  • 根の水透過係数(図2)は,台木品種によって大きく異なり,TR率が低い台木ほど小さかった(表2)。
  • 以上の結果,水透過係数が小さい台木の樹ほど水分供給能力が劣るため,TR率を低下させて根の水分供給能力と地上部の蒸散量のバランスをとる方向へ働くのではないかと推察される。従って,幼苗のTR率及び根の水透過係数で台木としての強弱を推定することが可能と考えられる。

成果の活用面・留意点

樹体における地上部と地下部の関係解明,台木によるわい化・強勢化のメカニズムの解明及び各種樹勢の台木の早期選抜に利用できる。

具体的データ

図1.蒸散流に対する樹体内各部の抵抗の比率図2.根の水透過係数の測定方法

 

表1 台木が‘大谷伊予柑’のTR率と樹冠容積に及ぼす影響 表2 1年生実生のTR率

 

表3 1年生幼苗の根の水透過係数

その他の特記事項

  • 研究課題名:カンキツの優良台木と樹体制御による樹勢調節及び高品質果実生産技術の開発
  • 研究期間・予算区分:平成元~5年・特別研究(特定農産物緊急技術開発)
  • 研究担当者:緒方達志,高原利雄,村松昇
  • 発表論文等:カンキツにおける根の Hydraulic Conductivity とTR率との関係,園学雑,63(別1),1994(予定)