'国光'苗木によるリンゴさび果ウイロイドの生物検定法

要約

リンゴさび果ウイロイド(ASSVd)の生物検定は,二年生以上の実生台木上で‘国光’を指標植物として二重切接ぎ接種を行い,25°C付近の温度条件で病徴を発現させることにより,従来の生物検定法より短期間にウイロイド保毒の有無を検定できる。

背景・ねらい

リンゴさび果病の病原であるASSVdの検定法として,電気泳動法や遺伝子診断法が開発されている。しかし,両法とも特殊な器材と技術が要求される。一方,クラブリンゴの果実の病徴を指標とした生物検定法があるが,検定に早くて2年を要する。そこで中国でさび果病の病徴とされている湾曲葉症状の‘国光’苗木での発現条件を検討し,より短期間で検定可能なASSVd生物検定法の開発を行った。

成果の内容・特徴

  • ASSVd単独感染リンゴ実生を接種した‘国光’苗木は,接種後3~4ヶ月で湾曲葉症状(図1)が発現し,本症状がASSVdに起因することが確認された。
  • 以上の結果に基づき,湾曲葉症状を指標としたASSVdの生物検定法(図2)を下記の通り考案した。本法は、検定に早ければ3ケ月,遅い場合は2年必要であるが,検体当り4個体とることにより接種当年での検定が充分可能である。
    1)ASSVdフリー‘国光’を用い,リンゴ実生台上で,二重切接ぎ法(検定樹の穂木を台木に切接ぎした後,‘国光’穂木をその上に切接ぎする)により接種を行う。
    2)‘国光’の新梢1本のみを伸長させ,新梢生育が停止する10月中旬まで湾曲葉発現の有無を観察する。
    3)判定は1本でも明瞭な湾曲葉が認められた場合を陽性とし,陰性の判定は全苗木が本症状を発現せず,かつ最終新梢長80cm以上の苗が2本以上あった場合のみとする。

成果の活用面・留意点

湾曲葉症状は新梢生育不良の苗木では発現せず(表1),最終新梢伸長が80cm以上に伸長する苗でのみ判定可能なので,検定には大型鉢(径約25cm)に植えた生育良好な2年生以上の実生台を用いる。また,接種は充分なASSVd濃度が得られるよう4~5月中に行い,湾曲葉症状の発現には25°C付近が適するので,30°C付近の高温が連続するような場所での検定は避ける。

具体的データ

表1.リンゴさび果ウイロイドを二重切接ぎ接種した‘国光’苗木の最終新梢長と湾曲葉発現との関係

図1.リンゴさび果ウイロイドを二重切接ぎ接種した‘国光’苗木に発現する湾曲葉症状

 

図2.‘国光’苗木の湾曲葉を指標とするリンゴさび果ウイロイド(ASSVd)の生物検定

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:リンゴウイルス病様症状の病原究明
  • 研究期間・予算区分:昭和63~平成5年・経常
  • 研究担当者:伊藤伝,吉田幸二
  • 発表論文等:リンゴさび果ウイロイドにより‘国光’苗木に発現する湾曲葉症状の発現条件,果樹試験場報告,25,1993