新貯蔵システム「氷蔵庫」によるウメ,ブドウ果実の鮮度保持

要約

氷蔵庫は,冷媒を庫内壁中に循環させて冷却する冷熱輻射式新貯蔵システムであり,相 対湿度を高く保つことができる。この氷蔵庫においてウメとブドウの鮮度保持期間が冷蔵 庫よりも2倍以上になった。

背景・ねらい

国民所得水準の向上と生活様式の変化に伴い,消費者の果実やその加工品に対する高品質化・多様化志向が強まってきており,品質・鮮度ともに優れた果実の流通が求められて いる。果実の品質は鮮度に大きく左右されることから,鮮度低下を抑制し,高品質な果実を安定的に供給する必要がある。

成果の内容・特徴

  • 氷蔵庫(東京冷熱株式会社)は,従来の冷蔵庫に代わるシステムとして開発された。 このシステムは冷媒を庫内壁中に循環させる冷熱輻射方式であり,従来の冷蔵庫の冷気 対流方式とは異なるシステムである。このため庫内全体が均一に冷却され,相対湿度を 高く保つことができる。両システムを5°Cに設定したとき氷蔵庫の湿度は95%で,冷蔵庫の湿度は70~80%であった。氷蔵庫は,0°C以下で貯蔵する氷温貯蔵庫とは異なるシステムである。
  • ウメを5°Cで冷蔵庫と氷蔵庫に貯蔵した場合,冷蔵庫に貯蔵して1か月後には果皮の褐変・萎縮が認められ商品性を失ったが,氷蔵庫では貯蔵前の状態を保っていた(図1)。また,冷蔵庫の果実は氷蔵庫の果実より,早くa値(赤み)が上昇した(図2)。
  • ブドウを5°Cで冷蔵庫と氷蔵庫に貯蔵した場合,冷蔵庫に貯蔵したブドウの果軸は2週間で褐変し,商品性が著しく損なわれたが,氷蔵庫に貯蔵したブドウは1か月後においても緑色を保っていた(図3,図4)。
  • 果実を5°Cで貯蔵した場合,冷蔵庫で約1か月貯蔵したウメでは果実重が約26%,ブドウでは約6%減少したが,氷蔵庫では目減りはほとんどない。

成果の活用面・留意点

氷蔵庫は高湿度に保たれるために,ブドウを貯蔵した際にカビの発生が冷蔵庫と比較し て多いことから注意が必要である。

具体的データ

図1 氷蔵庫及び冷蔵庫に貯蔵したウメ

図2 貯蔵中におけるウメ’剣先’の果皮色a値の変化

図3 氷蔵庫及び冷蔵庫に貯蔵したブドウ

図4 貯蔵中におけるブドウ’巨峰’の果軸色のa値の変化

その他

  • 研究課題名:果実の鮮度保持における新貯蔵法「氷蔵庫」の評価
  • 予算区分:平成5~7年・経常研究
  • 研究担当者:田中敬一,石川(高野)祐子
  • 発表論文等:果実の鮮度保持における新貯蔵法「氷蔵庫」の評価,園学雑,64(別1),
    1995。