ニホンナシ等双子葉植物におけるOSH-1類似遺伝子の存在と形態の変化

要約

イネの形態形成変化を引き起こすホメオティック遺伝子 OSH-1 に類似した遺伝子がニホンナシに存在することを明らかにした。また,OSH-1遺伝子を人為的にタバコに導入したところ,葉及び花の形態が著しく変化するとともに,花芽形成が促進された。

背景・ねらい

果樹の栽培及び育種においては花芽の制御が重要であるが,人為的に花芽形成の制御を行うことはできていない。そこで,花芽形成も形態形成の一過程であるとの認識に立って,形態形成を制御する遺伝子OSH-1をタバコに導入し,その花芽形成に与える影響を検討した。また,同様のホメオティック遺伝子が果樹に存在するか,ニホンナシを用いて検討した。

成果の内容・特徴

  • ニホンナシゲノムDNA中には,OSH-1と類似の遺伝子があることをDNAブロットハイブリダイゼーションを用いて明らかにした(図1)。
  • タバコに導入したOSH-1遺伝子は,タバコの葉及び花の形態を著しく変化させるとともに,花芽形成を促進することを明らかにした(図2)。
  • OSH-1遺伝子を発現量,発現部位の異なる3種のプロモーターの制御下において導入すると,タバコでは発現量の多いものほど形態の変化が大きかった(NOS<35S)。一方,発現が分化初期に限られるプロモーター(PR)でも形態の変化がみられ,分化初期に本遺伝子が発現すれば十分花芽形成に影響を及ぼすと考えられる(表1)。

成果の活用面・留意点

ニホンナシの形態形成機構に関与する遺伝子が明らかにされ,研究情報として用いられる。

具体的データ

図1 ニホンナシゲノムのDNAブロットハイブリダイゼーションによるOSH-1類似遺伝子の解析

図2 OSH-1遺伝子を導入したタバコの葉及び花の形態変化

表1 OSH-1遺伝子を制御するプロモーターの種類と形態変化個体の割合

その他

  • 研究課題名:ニホンナシの相転換に伴う器官特異的タンパク質の動態解明
  • 予算区分:平成2~5年・特別研究(ジュベニリティ)
  • 研究担当者:村上ゆり子,草場新之助,福元將志
  • 発表論文等:Y.Kano-Murakami et al. A rice homeotic gene, OSH1, causes
                      unusual phenotypes in transgenic tobacco.FEBS 334, 365-368
                      (1993)