カンキツのβ(ベータ)-クリプトキサンチン高含有品種

要約

発がん抑制効果の高い物質として注目されるプロビタミンAのβ-クリプトキサンチンは、特にウンシュウミカン、ポンカン等のミカン類と、キンカンに多く含まれる。

  • 担当:果樹試験場・カンキツ部・遺伝資源研究室
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 部会名:果樹
  • 専門:育種
  • 対象:果樹類
  • 分類:研究

背景・ねらい

カンキツの果実には、数十にも及ぶ多種類のカロチノイド色素が含まれていることが知られている。カロチノイド色素の多くには発ガン抑制効果があるとされているが、特にカンキツに含まれるβ-クリプトキサチンにβ-カロチン以上の発ガン抑制効果のあることが示され注目されている。しかし、カンキツの種類により、カロチノイド色素量及び組成が異なっていることが知られている。そこで、β-クリプトキサンチン高含有品種及び育種素材選択のため、果皮(フラベド)及び果汁中の総カロチノイド含量とβ-クリプトキサンチン含量の品種間差異を明らかにした。

成果の内容・特徴

  • 着色した果実の果皮(フラベド)、果汁のカロチノイド含量の多い品種は、田中の分類におけるミカン区、トウキンカン区に多かった。また、キンカン属の品種にも多くのカロチノイドが含まれていた(表1)。
  • ウンシュウミカンの「杉山温州」、「興津早生」の果汁では総カロチノイド量の約 60% がβ-クリプトキサンチンであり、果汁100g 中にそれぞれ、1.0mg、1.2mg が含まれていた。また、「太田ポンカン」の果汁でもβ-クリプトキサンチンの占める割合が 57.6%と高く、100g 中に 0.8mg 含まれていた(表1)。
  • 「杉山温州」、「興津早生」の果皮(フラベド) 100g 中には、それぞれ 8.0mg、 6.7mgのβ-クリプトキサンチンが含まれており、それは総カロチノイドの約 25% に相当した。また、果皮を食べる「ニンポウキンカン」でも、フラベド100g中に4.2mg と多くのβ-クリプトキサンチンが含まれていた(表1)。

成果の活用面・留意点

β-クリプトキサンチン高含有品種は有用な機能性食材である。また、それらはβ-クリプトキサンチン高含有品種育成のための母本として有用である。各成分量の絶対値については、果実間差異や熟度等による変動があると考えられる。

具体的データ

表1 カンキツの果皮及び果汁中のβ-クリプトキサンチン含量

その他

  • 研究課題名:発ガン抑制成分高含有中間母本の作出
  • 予算区分 :基礎研究推進事業
  • 研究期間 :平成 10 年度(平成8年~ 12 年)
  • 研究担当者:根角博久、中野睦子、吉田俊雄
  • 発表論文等:カンキツのフラベドおよび果汁に含まれるβ-クリプトキサンチン含量の品 種間差異,園芸学会雑誌,67(別2), 108,1998.