ブドウ果粒軟化期における果肉の細胞壁組成と分子量の変化

要約

ブドウ果粒では、急速に軟化するベレゾーン(水まわり)になると果肉細胞壁中の セルロースとキシログルカンが急速に減少し、後者は分子量分布の低分子化を伴う。ペクチンは遅れて着色開始期以降に低分子化を伴って減少する。

  • 担当:果樹試験場・カキ・ブドウ支場・栽培生理研究室
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 部会名:果樹
  • 専門:生理
  • 対象:果樹類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ブドウは硬核期後期のベレゾーン(水まわり)に果粒が急速に軟化し、その後果皮の着色が開 始する。このため、ベレゾーン期の急速な果粒 軟化には細胞壁組成と分子量変化が急速に起こっていると考えられるので、ベレゾーン前、ベ レゾーン、着色開始と着色期の果肉の細胞壁を比較検討した。

成果の内容・特徴

  • 熱水可溶性ペクチンは、ベレゾーンで一時的に増加するがその後減少した。熱水不溶性 ペクチンはベレゾーン前とベレゾーンでは大きな変化がなかったが、着色開始期から急速に減 少した。ヘミセルロースBとセルロースはベレゾーンになると急激な減少が認められた( 表1 )。
  • 熱水可溶性ペクチン、熱水不溶性ペクチン、ヘミセルロースB画分を生育ステー ジ別に分子量分布を比較した結果、いずれの画分も生育ステージが進行するに伴って分子量が 低分子化していることが判明した(データ略)。
  • セルロース繊維間の粘性に大きく関与するキシログルカンの分子量分布を比較す るために、ヘミセルロースB画分をゲルろ過カラムで分取しヨウ素染色法でキシログルカンを 定量した結果、ベレゾーンで急速な低分子化と減少が認められた( 図1 )。
  • これらの結果から、ベレゾーン期の果粒軟化には、セルロースとキシログルカン が低分子化を伴って急速に減少し、ペクチンは遅れて着色開始期以降に低分子化を伴って減少 する。

成果の活用面・留意点

ブドウの成熟に深く関与しているベレゾーン期の細胞壁特性が解明されたことで、今後ブドウ の成熟生理を解明する上で有効な基礎的な知見として活用できる。

具体的データ

表1 生育ステージにおける果肉の細胞壁画分の比較

図1 キシログルカンの分子量分布

 

その他

  • 研究課題名:ブドウの結実・肥大過程における生理活性物質の相互作用の解明
  • 予算区分 :特別研究(開花結実制御)
  • 研究期間 :平成 10 年度(平成7年~ 10 年)
  • 研究担当者:薬師寺 博、森永邦久、児下佳子