層化2次単位を伴う2段抽出による害虫密度推定法

要約

空間的に不均質で階層構造をなす環境に生息する害虫の密度推定法として、作業労力の節約と高精度化が可能な多段抽出及び層別抽出を融合した、層化2次単位を伴う2段抽出法が有効である。

背景・ねらい

害虫の防除にあたっては、密度推定に基づく防除要否の決定が重要である。このため、労力を節約でき、かつ高い精度を得られる密度推定法を用いることが望ましい。害虫が空間的に不均質で階層構造(たとえば、葉、樹木、果樹園など)に分割できる環境に生息する場合、多段抽出及び層別抽出が単純無作為抽出に比べて有効である。そこで、これら2つの抽出法の利点を組み合わせた密度推定法の開発を試みた。

成果の内容・特徴

  • モデルは、(1)母集団にL個の第1次抽出単位(1次単位と略称;これらのサイズは異なっていてもよい)がある、(2)各1次単位はR個の層から成る(2次単位は層化されている)という構造である。また、抽出の手順は、(1)L個の1次単位からl個を単純無作為抽出する、(2) Nij 個の要素から成るi番目の1次単位の中のj番目の層から nij を単純無作為抽出する、で示される。
  • 特殊なケースとして2項サンプリングを組み込むことができる。これは層が2つから成る(R=2)場合に相当し、たとえば 害虫の存在する葉と存在しない葉に区分けすることである。2項サンプリングによりそれらの比率(すなわち存在頻度率)があらかじめ分かっているなら、害虫 の存在する葉を少数サンプリングすることにより、単純無作為抽出よりも高い精度で密度推定することができる (表1)。

成果の活用面・留意点

  • 本方法は害虫だけでなく、植物などさまざまなものの個体数推定に適用可能である。

具体的データ

表1 葉あたり害虫密度の推定に関する数値例

一般的なケースと特殊なケース

その他

  • 研究課題名:モモハモグリガ寄生蜂の生態
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成 11 年度(平成5年~8年)
  • 研究担当者:足立 礎
  • 発表論文等:Adachi, I. and K. Yamamura (2000) A two-stage sampling method with stratified secondary units. Applied Entomology and Zoology, 35, 231-236.