さわやかな風味の中生カンキツ新品種「はるひ」

要約

カンキツ新品種「はるひ」は、食味が優れる「カンキツ興津46号」と香りのさわやかな「阿波オレンジ」を交雑して育成した中生カンキツの新品種である。2月頃に成熟し、柔軟多汁であり、ヒュウガナツに似たさわやかな風味を呈し、食味が良い。

  • キーワード:カンキツ、新品種、中生、ヒュウガナツ、良食味
  • 担当:果樹研・研究支援センター・遺伝資源室
  • 代表連絡先:電話054-369-7109
  • 区分:果樹・育種
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

カンキツの品種の中には、ヒュウガナツのように独特でさわやかな風味を持ち、新たなカンキツの需要を創出する可能性のあるものがあるが、極晩生であったり、剥皮性に劣るなど改良すべき点がある。そこで、食味が優れるオレンジタイプの「カンキツ興津46号」を種子親に、ヒュウガナツに由来するさわやかな風味を持つ「阿波オレンジ」を花粉親として交雑を行い、食味が良くさわやかな風味を持つ多様な品種の育成と育種素材化を図る。

成果の内容・特徴

  • 1991年(平成3年)に農林水産省果樹試験場興津支場(現:農研機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点)において、剥皮性に劣るが、食味の優れる「カンキツ興津46号」(「スイートスプリング」×「トロビタ」オレンジ)とヒュウガナツ様の芳香を有する「阿波オレンジ」(「ヒュウガナツ」×「トロビタ」オレンジ)を交雑して育成した品種である。2001年(平成13年)4月から系統名「カンキツ興津55号」としてカンキツ第9回系統適応性検定試験に供試して検討した結果、2008年(平成20年)8月の同試験成績検討会において新品種候補としてふさわしいとの結論が得られた。2009年(平成21年)10月13日に品種登録の出願を行い、同年12月24日に出願公表された。
  • 樹勢は中庸で、樹姿は開張形を示す。枝は太く、枝の粗密は中から疎らな方である。トゲの発生はヒュウガナツより少ない。葉身は大きく、葉身幅も広い。そうか病とかいよう病に強い。カンキツトリステザウイルス(CTV)によるステムピッティングは軽~中程度の発生が認められる。
  • 果実は平均150g程度、果形は扁球形から球形で、果形指数は110程度である。果皮の色は黄色から橙黄色となり、果面は滑らかである。果皮の厚さは約3.1mmと中程度であり、剥皮はやや易しい。着色・減酸はヒュウガナツよりも早く、2月に熟期となる。果肉は柔軟多汁で、糖度も高く(13%程度)、適度な酸味とヒュウガナツに似た芳香があり、さわやかな風味を有する。平均含核数は14粒程度で、種子は多胚性である。

成果の活用面・留意点

  • ヒュウガナツより早熟な、さわやかな風味を持つ品種として利用できる。
  • 着果過多により樹が衰弱することがあるので、摘果などを励行し、適正着果に努める。
  • 熟期は1月中下旬から2月と推定され、3月まで収穫が可能である。
  • 苗木は2011年秋期より販売される予定である。

具体的データ

表1 「はるひ」の育成地における特性(

図1 「はるひ」の結実状況

図2 「はるひ」の果実

その他

  • 研究課題名:果樹遺伝資源の特性評価及び育種素材化
  • 中課題整理番号:511a.3
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:1991年~2008年度
  • 研究担当者:吉岡照高、根角博久、吉田俊雄、國賀 武、野々村睦子、中嶋直子、喜多正幸、太田 智、滝下文孝、村瀬昭治