オーキシンはモモの成熟後期における軟化を誘導する

要約

一般的なモモ(普通モモ)では成熟後期にオーキシン量が急増してエチレン生成が起こり軟化するが、硬肉モモではオーキシン量が増加しないため軟化しない。普通モモをオーキシン生合成阻害剤で処理すると、果肉硬度が高く保たれる。

  • キーワード:モモ、果肉軟化、オーキシン、エチレン、阻害剤
  • 担当:加工流通プロセス・品質評価保持向上
  • 代表連絡先:電話 029-838-6453
  • 研究所名:果樹研究所・栽培・流通利用研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

一般的なモモ(普通モモ)は収穫後に急激に果肉が軟らかくなり、傷みやすく日持ちも悪い。一方、硬肉モモは普通モモとは異なり、果肉は収穫後もほとんど軟化しない。普通モモでは成熟後期にエチレン生成量が急増し、軟化に関連する酵素遺伝子の発現が誘導されて軟化するが、硬肉モモでは成熟中にエチレン生成量が増加しないため軟化しないことが明らかとなっている。
硬肉モモ果実成熟期においてエチレン生成が起こらない原因を明らかにするためにDNAマイクロアレイ等の手法を用いて解析したところ、オーキシンがモモ成熟後期のエチレン生成に影響を及ぼす可能性を示唆する結果を得ている。そこで、モモ成熟期におけるエチレン生成および軟化に及ぼすオーキシンの影響について解析する。

成果の内容・特徴

  • 普通モモでは、成熟後期にオーキシンが急増するが、硬肉モモでは、増加しない(図1)。
  • 硬肉モモにオーキシン処理をすると、エチレン生成が起こり、果肉硬度は低下する(図2)。
  • 普通モモにオーキシン生合成阻害剤を処理すると、エチレン生成が抑制され、果肉硬度が高く保たれる(図3)。
  • 普通モモの成熟後期には、オーキシンが急増することでエチレン生成が起こり、そのエチレンによって軟化関連酵素が誘導されて軟化する。硬肉モモでは、成熟中にオーキシン含量が増加しないため、エチレン生成が誘導されず軟化しない。

成果の活用面・留意点

  • 本研究の成果は、オーキシン生合成阻害剤をモモの軟化抑制剤として利用できる可能性を示唆するものであるが、実用のためには、軟化抑制効果の向上や農薬登録のための試験研究が必要である。

具体的データ

図1~3

その他

  • 中課題名:農畜産物の品質評価・保持・向上技術の開発
  • 中課題整理番号:330a0
  • 予算区分:交付金、競争的資金(科研費)
  • 研究期間:2011~2014年度
  • 研究担当者:立木美保、中嶋直子、藤井浩、島田武彦、中野道治、嶋田幸久(横浜市立大)
  • 発表論文等:
    1)Tatsuki M.et al. (2013) J. Exp. Bot. 64(4):1049-1059
    2)立木ら「果実の鮮度保持方法」 特開2014-138562 (2014年7月31日)
法人番号 7050005005207