胚培養による観賞用アリウムの種間雑種育成技術

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要約

観賞用アリウムの種間雑種は、交配20~25日後に胚を摘出し、1/2 MS+BA1ppmを含む培地上で胚培養を行うことにより獲得することができる。

  • 担当:北海道農業試験場・作物開発部・野菜花き研究室
  • 連絡先:011-851-9141
  • 部会名:作物
  • 専門:育種
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

観賞用アリウム(ギガンテウム、モリー等)は、種間交雑を行っても正常種子がほとんど得られないことから、培養方法や培地条件の検討を行い、安定した雑種育成技術を確立する。

成果の内容・特徴

  • 切り花を用いて交配すると、露地交配に比べ子房の肥大が促進され、摘出胚数も増加する。また、作業を室内で行うため、除雄・交配が容易であり、天候の影響を受けず、袋かけの必要がないなどの利点がある。
  • 培養方法は、胚培養が適する( 表1 )。
  • 胚の摘出時期は、交配20~25日後が適当である。
  • 培地条件は、基本培地に1/2MS培地を用い、植物ホルモンとしてBAを1ppm添加する( 表2 )。
  • ギガンテウムを子房親とした19組み合わせの交配結果から、種間により交雑不親和性に違いが見られる。ギガンテウムは同亜属のシューベルティやカラタビエンセとの親和性が高いが、同亜属のオレオフィラムや他亜属との交配では発芽した胚はほとんど得られない( 表3 )。

成果の活用面・留意点

  • 種間交雑を利用したアリウム属の育種に活用できる。
  • 得られた雑種個体は、観賞用アリウムの育種素材として利用できる。

具体的データ

表1 培養方法と胚の発芽

表2 培地条件と胚の発育

表3 観賞用アリウムの交配組合せと胚の発芽

その他

  • 研究課題名:アリウム種属間雑種作出のための胚・子房培養技術の確立
  • 予算区分 :バイテク(作物強化)
  • 研究期間 :平成10年(平成6~10年)
  • 発表論文等:1.Interspecific hybridization of Allium giganteum Regel: production and early verification of putative hybrids. Theor. Appl. Gente. 96:385-388. 1998.
    2.胚培養によるアリウム 種間雑種の育成,園学雑,67別2:400,1998.