低圧式フォレージマットメーカで摩砕したアルファルファの乾燥促進効果

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

低圧式フォレージマットメーカで摩砕したアルファルファの乾燥速度は、蒸発散位を指標とした場合、縦軸回転式テッダレーキで2~4回スワス転草した圃場予乾法と同程度である。さらに、目標水分に達するまでに必要な蒸発散位を推定することで、既往の気象データから地域適用性を判定できる。 

  • 担当:北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
  • 連絡先:0155-62-9286
  • 部会名:総合研究
  • 専門:作業
  • 対象:牧草類
  • 分類:研究

背景・ねらい

蛋白質やミネラルに富む高品質粗飼料のアルファルファは、乾草やヘイキューブとして年間約100万トン輸入されており、高泌乳牛に適したアルファルファサイレージの収穫調製技術の確立が求められている。既に北海道農試で開発したフォレージマットメーカを実用化するため、空気入りタイヤで牧草をひねり潰して(摩砕)マット状にする低圧式フォレージマットメーカ(以下マットメーカ)を試作し、単播アルファルファを対象にその乾燥促進効果および実用性を実規模で検討する。

成果の内容・特徴

  • 単播アルファルファの圃場予乾作業において、刈幅2.5mのモーアコンディショナで刈取った後、縦軸回転式テッダレーキで刈倒し列(スワス)を収量等に応じて2~4回転草した事例とマットメーカで摩砕した厚さ5~10cm、幅1.1~1.3mのマットを刈株上で地干し(写真1)した事例から、蒸発散位を変数として含水量の減少割合を示す乾燥係数(図1注を参照)を求めた。
  • 摩砕処理したアルファルファの乾燥速度は、乾物収量が多くなるにしたがって低減し、対象としたスワス転草と同程度の乾燥促進効果であった(図1)。
  • 摩砕処理における実測データを基に、乾物収量および初期含水量が乾燥係数に及ぼす影響を重回帰分析するとともに、収穫適期近傍における季節別含水量の推定値を用い、1~3番草を目標とする水分まで予乾させるのに必要な蒸発散位を算出した(図2)。
  • 十勝地域の気象条件(表1)を例にとると、含水率50%の低水分サイレージを2日体系で調製する場合、6月収穫の1番草は作業日数が限られるが、2~3番草では安定的に調製することが可能である。

成果の活用面・留意点

  • 試作したマットメーカの実用性の評価および適用可能地域の推定に使用できる。
  • 本成果は無降雨条件下でのみ適用できる。

具体的データ

写真1.摩砕作業

図1.フォレージマットメーカで摩砕したアルファルファの乾燥係数

 

図2.含水率50%まで予乾するのに必要な蒸発散位

 

表1.2日連続無降雨日の積算蒸発散位

その他

  • 研究課題名:アルファルファを導入した畑地型酪農営農システムの確立
  • 予算区分 :総合研究(地域総合)
  • 研究期間 :平成12年度(平成10年~14年)
  • 研究担当者:糸川信弘、池田哲也、新良力也
  • 発表論文等:日本草地学会誌に投稿中