水稲直播技術定着のための情報交換システムの効用

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要約

直播技術が定着するためには,農家及び技術指導員等が,技術情報を相互にリアルタイムに共有し,情報網の多元化を図ることが重要となる。そのためには,インターネットとファックスを通じた双方向の情報交換システムが有効である。情報内容では,技術速報・作業体系・新技術などが重要であると評価されている。

  • 担当:北海道農業試験場・総合研究部・農村システム研究室,経営管理研究室,総合研究第1チーム
  • 連絡先:011-857-9310、011-857-9300
  • 部会名:総合研究
  • 専門:経営
  • 分類:研究

背景・ねらい

水稲直播栽培への取り組みも道内各地で試行導入が図られており,その定着のためには取り組み農家が試験研究機関・技術指導員を含めて相互に栽培・技術情報等をリアルタイム情報として共有し,技術対策と経験の蓄積を図る情報システムの構築が重要となっている。

成果の内容・特徴

  • インターネットとFaxで生育に関する技術・気象情報を提供し,BBS等を用いて意見交換を行う情報交換支援システムを構築し,運用を始めた(図1)。
  • 運用にあたっては,情報の流れにおける双方向性を重視している。リアルタイム情報をベースとした相互の情報提供システムを中心的な内容とし,意見交換やマニュアルの随時更新,技術速報,お知らせ・連絡等の内容を付加している(表1)。
  • 9月以降のHP利用状況は,収穫期を控えた時期には現地の画像情報や登熟期予測に対する関心が高く,リアルタイムの情報には一定のニーズが認められる(表2)。
  • 直播研究会の会員へのアンケートの結果,9割前後がPC・携帯・Faxを持ち,ネットへの接続予定を含めると全体の7割弱が,近くこの情報システムを効果的に利用できる状況にある。またコンジョイント分析の結果,特にPCの効用値が他の3.5倍と高く,Faxも携帯を若干上回ったので,全体として現在のPC+Faxというシステム構成が適切と判断される(表3)。
  • 現在提供している情報の中では,特に技術速報・作業体系・新技術などの情報が重要であると評価されている(図2)。今後,生育状況に合わせた技術的な栽培ポイントに関する最新情報の提供強化が求められており,栽培管理面でのPDCA ( Plan-Do-Check-Action )のシステム形成による情報網の多元化が重要となる。

成果の活用面・留意点

情報は北農試のホームページ上で公開している(http://www.cryo.affrc.go.jp/chokuhan/)。今後,データ蓄積・検索システムの充実とともに,繁忙期における生育情報の簡易送信法の検討や生育診断をはじめ栽培面での研究蓄積と対応策を検討する体制の整備が重要となる。

具体的データ

図1.双方向情報交換システムの概要

 

表1.支店システムの内容と今後の方向

 

表2.システムの月別アクセスログ解析

 

表3.システム構成に対する評価

 

図2.情報の内容に対する評価

その他

  • 研究課題名:直播技術導入による経営革新支援方策の確立(2)地域への定着支援方策の解明
  • 予算区分 :地域総合
  • 研究期間 :平成12年度(平成11~12年)
  • 研究担当者:森嶋輝也,田中基晴