フローサイトメーターを用いたバレイショの倍数性簡易検定法

要約

フローサイトメーターを利用することによりバレイショの倍数性を極めて簡易かつ正確に分析できる。これを種子の胚斑点および実生苗の胚軸色に基づく選抜法と組み合わせることにより、効率的に2倍性半数体の選抜が行える。

  • キーワード:ばれいしょ、倍数性、フローサイトメーター
  • 担当:北農研・畑作研究部・ばれいしょ育種研究室
  • 連絡先:0155-62-9272
  • 区分:北海道農業・作物
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

ばれいしょの種いも生産においては、時間、労力およびコストなどで数々の問題を抱えており、これらの問題を解決するため種子播きバレイショ(TPS)品種の開発を試みている。栽培種の多くは4倍体であるが、TPS品種の母本を育成するには、種属間交雑により2倍性半数体を多数作出する必要がある。交雑種子には2倍体だけでなく3~4倍体のものも含まれているため、倍数性を分析して2倍体を選抜しなければならない。気孔の孔辺細胞中の葉緑体観察により行う従来の倍数性分析法は、作業が繁雑で精度も低いため、より簡単かつ精度の高い倍数性分析法が求められていた。そこで、本研究では、フローサイトメーターを利用した倍数性の簡易検定法を開発する。

成果の内容・特徴

  • フローサイトメーター(パルテック社 PA)を利用することにより、倍数性の異なる品種・系統を簡単に識別することができる(図1)。
  • 染色体数が既知のものをインターナルコントロールとすることにより、染色体数が1本異なるだけの異数体をも識別することができる(図2)。
  • 細胞中のDNA量は組織によって異なり、倍数性分析には若葉が適し、異数性の分析には老化葉もしくは根が適する。(図3)。
  • 4倍体の普通栽培種に半数体誘導体であるSolanum phureja 460またはSolanum phureja 461の花粉を交配して得られた種子を胚斑点の有無により1次選抜し、次いで選抜種子の実生胚軸の色に基づき2次選抜をした後に、3次選抜として本法を用いることにより、2倍性半数体を簡単かつ効率よく選抜することができる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 育種選抜現場における効率的な半数体の選抜に適用できる。
  • 葉および根での倍数性分析は可能であるが、塊茎では正確な分析はできない。

具体的データ

図1 フローサイトメーターによる倍数性分析

図2 2n=24,25,36,48 の品種・系統混合葉の倍数性分析

図3 男爵薯の異なる組織における倍数性の分析

表1  2倍性半数体の選抜経過

その他

  • 研究課題名:真正種子播き品種の母本系統の作出と組合せ検定
  • 予算区分:委託プロ
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:小林 晃、高田明子、津田昌吾、森 元幸
  • 発表論文等:小林ら(1999)育種・作物学会北海道談話会会報40:55-56