永続性、越冬性が優れるアルファルファ「ハルワカバ(旧系統名 北海3号)」

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要約

永続性、越冬性が優れるアルファルファ「ハルワカバ」は、北海道の自然条件に適応する品種として、我が国寒地におけるアルファルファ栽培の安定化と拡大に貢献できる。

  • キーワード:アルファルファ、永続性、越冬性、寒地適応
  • 担当:北農研・作物開発部・マメ科牧草育種研究室
  • 連絡先:電話011-857-9272 電子メ-ルgaumitsu@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・作物
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

北海道の草地型酪農においては、粗飼料の高品質化をはかることが重要であり、その方法の一つとしてアルファルファ栽培が推進されている。北海道の栽培条件に適応するアルファルファには寒地に適応する特性が強く求められるが、寒地型のアルファルファは北海道の重要病害であるそばかす病に弱く、北海道では十分に能力が発揮できなかった。そこで寒地型で適応性に優れ、そばかす病抵抗性の新品種を開発して、北海道におけるアルファルファ栽培の安定化に寄与しようとした。

成果の内容・特徴

  • 生育型:標準品種「マキワカバ」に比較して、草型が開張型で、秋の草勢が劣り、側根の割合が大きい(表1)。標準品種より秋の休眠性が高く、寒地適応性の特徴が強い。
  • 永続性:2年目収量に対する4年目収量の比で評価した永続性、試験最終年の茎数密度および単位面積当たりの残存株数において標準品種を上回る(表1、図2、図3)。既存品種中最も永続性に優れる。
  • 越冬性:越冬性、萌芽良否および春の草勢の評価は何れも標準品種より優れる(表1)。既存品種中最も越冬性に優れる。
  • 耐寒性:標準品種が「中」の評価に対し、「中~やや強」である(表1)。
  • 収量性:4ヶ年合計収量の標準品種対比は105で多収を示し、特に試験期間中の後半において多収傾向が顕著である(図1)。既存品種中最も多収である。
  • 早晩性:開花始は標準品種とほぼ同時期の「早生」に属する(表1)。
  • 倒伏程度:草型が開張型であるため、倒伏程度は標準品種より大きく評価される(表1)。
  • 耐病性:そばかす病の罹病程度は抵抗性の高い標準品種並である(表1)。バ-ティシリウム萎凋病に対しては抵抗性である(表1)。
  • 飼料成分:CP割合、ADF割合およびNDF割合は標準品種と大差ない(表1)。
  • 採種性:採種量の2年間平均は標準品種と大差ない(表1)。採種性は標準品種並である。

成果の活用面・留意点

  • 北海道一円を普及対象地域として、特に、これまでアルファルファの安定栽培が難しかったところでも栽培の安定化が図られ、アルファルファの栽培拡大に貢献できる。普及見込み面積は7,500haである。
  • 開張型のため倒伏程度は大きいが、地面から刈取り部までの間隔は確保されるため、一般的な機械刈りによる収穫ロスは標準品種と大差ない。耐倒伏性は実用レベルであるが、適期刈りにつとめ、刈遅れに注意する。

具体的データ

図1 「北海3号」の収量性

 

図2 茎数密度 図3 残存株数

 

 

表1 「北海3号」の主要特性

その他

  • 研究課題名:アルファルファの多収・永続・耐病性品種の育成
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1994~2002年度
  • 研究担当者:我有 満、廣井清貞、磯部祥子、山口秀和、内山和宏、澤井 晃