好アルカリ微生物を利用した中華麺品質の改良

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要約

チーズスターターなどに利用されるブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌を中華麺に添加し恒温、熟成することで、添加菌の発酵作用により色調改善、防腐、防カビ効果を有する中華麺が製造でき中華麺品質の改良が可能である。

  • キーワード:中華麺、ブレビバクテリウム、色調改善、防腐、防カビ
  • 担当:北農研・畑作研究部・流通システム研究チーム
  • 連絡先:電話0155-62-9280、電子メールk.saito@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・流通利用
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

中華麺は、黄色味の調整や保存のため様々な着色料や保存料が使われている。これら添加物を用いることでアルコール臭等が残り食味や色調の 悪化が時として生じる。中華麺の風味、食感を損なわず従来の添加物に代わる品質改良法の提供を目的に、微生物添加による技術開発を行った。

成果の内容・特徴

  • 表1の培地を用い25℃で培養した湿菌体または市販の凍結乾燥粉末菌体を、表2の配合で中華麺に添加し麺帯作成を行う。麺帯の状態でポリ袋中25℃または10℃で恒温熟成を行い、適宜製麺を行う。
  • 恒温熟成後、BL1、BL2、B8添加で黄色味が向上し、BCについては他に比べやや白味を帯びるが、全菌株とも褐変防止の効果がある。ゆで後の官能評価も全菌株とも未添加のコントロールより良好である(表3)。
  • BL1、BL2では10℃、BCでは25℃、B8では両温度の恒温熟成で、麺帯中の雑菌の抑制と麺帯表面のカビの発生が抑制される(図1)。

成果の活用面・留意点

  • BC、BL1、BL2は、クリスチャンハンセン社よりチーズスターターとして市販されている。B8株は当所および(独)産業技術総合研究所特許生物寄託センター(寄託番号FERM P-18692)で保有しており、許諾手続きを経て分譲が可能である。
  • 恒温熟成温度および期待する色調に応じた菌株選択を行う。
  • 中華麺用の強力粉の他、中力粉など小麦粉の種類を問わず効果の適用が可能である。

具体的データ

表1 培地組成

 

表2 中華麺配合

 

表3 細菌添加中華麺(ゆで麺)の官能評価結果

 

図1 細菌添加中華麺生地の恒温試験結果

 

その他

  • 研究課題名:好アルカリ発酵微生物の機能解析とその利用
  • 課題ID:04-04-04-*-04-03
  • 予算区分:科振調(若手任期付支援)
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:斎藤勝一、小田有二、山内宏昭、桑原達雄、高田兼則、西尾善太
  • 発表論文等:
    1) Saito et al. (2003) Food Sci. Technol. Res. 9:40-44.
    2) 斎藤ら (2002) 特願2002-044702
    3) 斎藤ら (2003) 特願2003-035092