人為接種によるテンサイ黒根病抵抗性検定手法
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要約
遊走子を接種源とした人為接種による、テンサイ黒根病抵抗性検定手法を開発した。本手法による発病の品種間差は、自然発病と同一であり、再現性および試験精度は高い。本手法は、播種後120日で抵抗性の検定が可能である。
- キーワード:テンサイ、黒根病、人為接種、遊走子、灌水処理、再現性、検定精度
- 担当:北海道農研・畑作研究部・てん菜育種研究室
- 連絡先:電話0155-62-9271、電子メールokakazu@naro.affrc.go.jp
- 区分:北海道農業・作物
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
近年、テンサイ黒根病(Aphanomyces cochlioides )による被害が問題視されているが、抵抗性品種
の育成には、抵抗性の正確な評価とともに、複数年に渡る選抜・検定が必要である。しかし、従来の発病ほ場における自然発病下の検定では、発病の年次間差が
大きく、検定精度も低いことから、正確な抵抗性の評価が困難である。そこで、環境条件の制御が可能な温室・ポット栽培において、遊走子を接種源に用いた人
為接種による黒根病抵抗性検定手法を開発する。
成果の内容・特徴
- 播種後30日の苗に3.0×104個のA. cochlioides の遊走子を接種する。接種苗は、1/5000aのワグネルポットに移植(1個体/1ポット)後、多灌水処理を行い、温室内(最低温度:移植30日後まで15℃、以降20℃)で育成・発病させる(図1)。
- 接種後90日の根部には、テンサイ黒根病の病斑が明瞭に確認できる(図2)。
- 本手法による黒根病の品種間差は発病ほ場と同一である。また、発病指数の年次間差および変動係数は、圃場試験に比べて低く,再現性および検定精度が高い(表1)。
- 検定までに要する日数は、ほ場試験の180日に対し、本手法では120日と短い。
- 検定に要する個体数は、ほ場試験の60個体(30個体/区の2反復)に対し、本手法では20個体(10個体/区の2反復)と、少ない。
成果の活用面・留意点
- テンサイ黒根病抵抗性品種の育成が促進できるとともに抵抗性機作の解明に応用できる。
- ポット用土には、保水性を高めるため、粉砕した赤玉土に園芸用育苗培土を3:1で混和したものを用いる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:てんさい一代雑種における選抜及び検定方法の開発
- 課題ID:04-03-02-*-08-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1999~2008年度
- 研究担当者:岡崎和之、大潟直樹、高橋宙之、田口和憲、田中征勝、中司啓二
- 発表論文等:
岡崎ら(2001) 育種学会・作物学会北海道談話会会報42:123-124
岡崎ら(2003) 日本植物病理学会報69(3):271-272