複数ブロック型産業クラスターの道外展開における総合商社の重要性

要約

道内において各種の専門卸売業者やメーカーを核とし、複数の企業ブロックに分離している産業クラスターが、その取引ネットワークを道外へ展開する際には、それらのブロックを接続する企業として、総合商社の果たす役割が大きい。

  • キーワード:産業クラスター、企業ブロック、取引ネットワーク、総合商社
  • 担当:北海道農研・北海道農業経営研究チーム
  • 連絡先:電話 011-857-9260、電子メール seikajouhou@ml.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・水田・園芸作
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

道内加工食品産業の競争力強化及び道内農業への波及効果を通じた地域経済活性化を加速するには、産業クラスターの形成・発展を促進することが不可欠となっているが、その際には食品だけでなく複数品目を含む産業での展開になることが多いと考えられる。そこで、道内の事例を対象に、ネットワーク分析の手法を適用することで、多様なメンバーの参画するネットワークについて、食品産業と他産業の関係と、その拡張に必要となる機能を明らかにし、道内産業クラスターの道外への展開方策の解明に資する。

成果の内容・特徴

  • バイオ産業に関して道内には複数のクラスター拠点組織が存在し、なかでも北海道バイオ産業クラスター・フォーラム(事務局:ノーステック財団)とバイオネットワーク北海道(事務局:北海道中小企業総合支援センター)は、24社が重複するものの、それぞれ97社と47社が参加する大きな組織となっている(表1)。これらに所属する食品系の企業としては、菓子類や乳製品のような通常の加工食品以外には、機能性食品の製造・販売業者が多い。
  • 地域経済活性化を目的として2002年に発足した「A経済ネットワーク」の企業会員は45社であり、なかでも特にIT関係(13社)と食品関係(9社)の会員が多い(表1)。この組織では提案に対して多くの賛同者が得られる場合は「プロジェクト」として新規事業の展開を進めており、これまでにプロジェクト化された事業としては、ITを利用した「ブランド事典」の作成や地場産小麦によるラーメンの開発・販売などがある。
  • バイオ産業クラスターについては、ホクレンに代表される食品系と製薬会社など医療品に関わる企業のネットワークに分離する(図1)。同様に「A経済ネットワーク」では、食品系企業が一方の核となりながらも、他方でIT系ではなく、地元の建設工事関係の企業を核とするネットワークが形成されている(図2)。
  • クラスターの拡張段階によって、ブロックの核となる、あるいは複数のブロックを接続する企業は異なる。道内企業のみの取引ネットワークでは、各種の専門卸売業者やメーカーの影響力が強い。また事業発注者としての官公庁や大学の位置付けも高い。しかし、道外企業間の取引を含むネットワークまで広げると、何れのケースでも、2つの異なるネットワーク・ブロックを接続する企業として、総合商社の果たす役割が大きくなるため、そのクラスター組織への内部化が有効である(表2)。

成果の活用面・留意点

「道外展開」という概念は、道外企業間取引を含む全国展開のことを指しており、道内-外企業間取引までの段階では、総合商社の影響力は強くない。

具体的データ

図1 産業クラスターのネットワーク構造(バイオ産業クラスター)

図2 産業クラスターのネットワーク構造(A経済ネットワーク)

表1 クラスター組織参加企業の内訳

表2 取引ネットワークの拡張段階別に見た「自律性」の高い企業

その他

  • 研究課題名:北海道農業の動向解析に基づく技術開発方向の提示と経営類型に応じた経営継承・経営戦略
  • 課題ID:211-a
  • 予算区分:ノーステック財団
  • 研究期間:2006年度
  • 研究担当者:森嶋輝也