農薬自動混合装置付防除機を活用した少量散布によるバレイショ防除の省力化

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

農薬散布後の洗浄が簡単な自動混合装置は最大12%以内の誤差で薬剤を希釈できる。バレイショの少量散布防除を7ha規模で試算すると慣行防除の年間作業時間を67%に短縮できる。

  • キーワード:バレイショ防除、自動混合、省力化、少量散布
  • 担当:北海道農研・北海道畑輪作研究チーム、生産支援システム研究北海道サブチーム
  • 代表連絡先:電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・畑作、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

バレイショの防除作業は、回数が多い上にテンサイ防除や小麦の収穫と作業時期が重複するため、効率に加えて作業性の良い防除作業が求められている。自動混合は水と農薬を別々のタンクに入れ、散布時に混合するため作業終了後の洗浄が容易である。少量散布は作業効率が高く省力化が期待できることから、適応作物、農薬登録数の増加とともに対応防除機の普及が始まっている。そこで、ハンドリングに優れる自動混合装置付速度連動式防除機の混合精度を調査するとともに、バレイショの通年管理の作業時間を試算する。

成果の内容・特徴

  • 供試機は市販の自動混合装置を速度連動型ブームスプレーヤ((株)やまびこ製BSM1303S-MX)に追加装着したもので、希釈した薬液と水を別々のタンクに保持し、チューブポンプ式自動混合機構により散布時に薬液を100倍に希釈しながら散布できる(図1)。予備混合液と水の混合精度の誤差は最大12%で10a当り散布量換算値は許容範囲内である(表1)。
  • 予備混合タンクは本体タンクの残り水で洗浄できるため、給水場所へ戻らなくても洗浄可能で、慣行に比べて洗浄が容易である(図2)。圃場での実測時間は、自動混合の使用時は慣行散布より3分程短い。また、希釈倍率が100倍に相当する農薬は予備混合タンクへ農薬原液を入れて使用することができ、残りを回収することもできる。
  • 少量散布による通年管理を面積7ha、品種トヨシロの場合で試算すると、年間作業時間は慣行散布の67%に短縮できる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 省力効果は、農家圃場における実証的な時間計測に基づく試算である。
  • 市販の農薬自動混合装置は、タンク容量850L以上のやまびこ製速度連動型ブームスプレーヤに装着可能である。
  • 自動混合装置は農薬登録の使用量、希釈倍率に許容範囲のある薬剤が使用できる。
  • 自動混合装置の使用に際しては、予備希釈液と水を確実に混合するため通路等の裸地を利用し、両ブームを最大に延長した状態で最低90秒の予備散布が必要である。 平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「農薬自動混合装置の性能と少量散布によるバレイショ防除の省力効果」(指導参考)

具体的データ

図1 混合機構の概略

表1 予備混合液と水の混合精度(希釈倍率)

図2 洗浄作業(左:自動混合、右:慣行)

表2 年間防除作業時間の試算結果

その他

  • 研究課題名:北海道地域における高生産性畑輪作システムの確立
  • 中課題整理番号:211k.2
  • 予算区分:基盤、所特定
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:大津英子、村上則幸、喜多孝一、石田茂樹