低温処理を利用したアリウム「札幌1号」、「札幌2号」の長期連続出荷技術

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要約

アリウム「札幌1号」は定植前に3か月間、「札幌2号」は2か月間球根を5°Cで低温処理し、加温栽培することで2~4月に開花する。また切り下球を6~7月より低温処理することで10~1月に開花し、これらの作型の組み合わせにより長期連続出荷が可能となる。

  • キーワード:アリウム、開花調節、低温処理、促成栽培、連続出荷
  • 担当:北海道農研・寒地地域特産研究チーム
  • 代表連絡先:電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・水田・園芸作、花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

アリウム「札幌1号」(販売名「ブルーパフューム」)、「札幌2号」は、アリウムでは珍しい青色の花でバニラエッセンスに似た甘い香りを持ち、切り花用の新規花きとして注目されている。2品種は札幌での露地栽培においては6月下旬に一斉に開花することから、出荷時期を拡大するためには開花調節技術の開発が必要である。 そこで、定植前の低温処理の時期や期間が開花時期や切り花品質に及ぼす影響を検討し、長期・高品質出荷のための生産技術を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • アリウム「札幌1号」は定植前に球根を5°C・乾燥条件で3か月間、アリウム「札幌2号」は2か月間低温処理することにより、加温促成栽培を行った時の開花が最も早くなるとともに、開花率が高まり切り花長も長くなる(表1)。
  • アリウム「札幌1号」を9月中旬から3か月間低温処理をして加温促成栽培を行うと4月上中旬に開花し、8月下旬からの低温処理では3月上旬開花と、露地栽培に比べ2.5~3.5か月早く開花する(促成栽培、図1)。アリウム「札幌2号」を9月中旬から2か月間低温処理した場合は3月下旬開花、8月下旬からの低温処理では2月中旬開花と、露地栽培に比べ3~4か月早く開花する(図1)。
  • 加温促成栽培で形成された切り下球を低温処理することにより年内開花が可能となる(超促成栽培、図1)。6月中旬から2.5か月間低温処理を行うと、2品種とも10月下旬に開花する。7月中旬から2.5か月間低温処理を行うと、12月中下旬に開花する。
  • 普通栽培、促成栽培、超促成栽培の組み合わせにより、60cm以上の切り花を10月から6月まで連続して出荷することができる(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 切り下球を利用した超促成栽培では定植時が高温となるため、換気や遮光により気温を下げ、切り花品質の向上を図る。

具体的データ

表1 低温処理期間が加温促成栽培時の開花に及ぼす影響

図1 アリウム「札幌1号」、「札幌2号」の低温処理時期と開花との関係

その他

  • 研究課題名:寒地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
  • 中課題整理番号:311f.1
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2005~2009年度
  • 研究担当者:篠田浩一、村田奈芳