雇用型経営におけるGAP導入の経営改善効果と農場生産工程管理のポイント

要約

雇用型経営では、生産活動の計画・点検・改善に従業員が積極的に関与することで意識が高まり、計画的生産の実現を通じて、品質の向上や販売の改善を図ることができる。また、各工程での記録に基づく計画・点検・改善の継続的な実践が重要である。

  • キーワード:雇用型経営、経営改善、農場生産工程管理、GAP
  • 担当:経営管理システム・経営管理技術
  • 代表連絡先:電話 011-857-9260
  • 研究所名:北海道農業研究センター・水田作研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

適正な農業生産の実現を目的とするGAP(農業生産工程管理)では、食品安全や環境保全、労働安全に対する管理のポイントを示しているが、農業経営の効率化や経営改善の効果、またそのための管理のポイントまでは明確に意識されてこなかった。一方、規模拡大や企業化が進む農業経営では、圃場数や作付品目、従業員の拡大にともなって、生産工程の細部まで管理が行き届かず、そのことが経営効率を低下させる要因となっている。そこで、アンケートと事例調査をもとに、GAP導入による経営改善効果とその要因を明らかにし、GAPを核としながら雇用型経営の経営改善を図る農場生産工程管理のポイントを提示する。

成果の内容・特徴

  • GAPの導入は、従業員の意識改善から販売面まで、さまざまな経営改善効果を発揮する(図1)。また、それら経営改善効果には因果関係があり、従業員の意識改善は、計画的生産の実現を通じて、品質面や販売面の改善に寄与する(図2)。
  • 経営改善効果の発揮はGAPの取り組み方により異なり、GAP導入後、改善活動(計画・点検・改善)に新たに経営者以外の従業員が参画するケースほど、従業員の意識改善が図られる。また、生育データや栽培履歴に基づく改善活動の取り組みは、品質面や収量の改善に寄与し、GAPに継続的に取り組むケースほど、コスト面や品質面の改善効果が高い(表1)。
  • 雇用型経営において経営改善を図る農場生産工程管理のポイントを整理し、工程管理の普及・指導において活用可能なパンフレットを作成した。本パンフレットでは、農場生産工程管理のポイントとして、(1)経営改善における従業員の意識改善の重要性、(2)改善活動(計画、点検、改善)における従業員参画の効果、(3)改善活動における記帳データの積極的な利用の重要性、(4)品質向上やコスト削減等における継続的な改善活動の重要性を挙げ、先進事例の取り組みを交えて解説している(図3)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:全国のGAPの推進・指導に携わる関係者やそれらが支援する雇用型経営。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:日本GAP協会(日本GAP協会指導員研修受講者累計:約6,000名)や、日本農業法人協会(加盟法人数1,742法人)で利用が見込まれる。
  • その他:本成果をまとめたパンフレットは、農研機構経営管理システムのWebサイト上からダウンロードできる。

具体的データ

 図1~3,表1

その他

  • 中課題名:新規参入経営支援のための経営管理技術の開発
  • 中課題番号:114c0
  • 予算区分:交付金、科研費
  • 研究期間:2011~2012年度
  • 研究担当者:若林勝史、田口光弘、西村和志、梅本 雅、迫田登稔
  • 発表論文等:
    1)田口(2012)農業経営通信、251:8-9
    2)若林、田口(2013) 経営改善のための農場生産工程管理のポイント:1-17
    3)若林、田口(2013) 北海道農業研究センター農業経営研究、109:1-25
法人番号 7050005005207