加工用の高アントシアニンカンショ新品種候補系統「アケムラサキ(九州148号)」

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要約

カンショ「アケムラサキ(九州148号)」は「アヤムラサキ」よりアントシアニン色素含量が高く、いもの外観や線虫抵抗性が優れる。色素原料用として利用できる。

  • キーワード:サツマイモ、アントシアニン、高色価、色素原料、線虫抵抗性
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・サツマイモ育種研究室
  • 連絡先:電話0986-24-4274、電子メールsatsumaimo@mykz.affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

宮崎県ではジュース、パウダーや飲用酢向けとして「アヤムラサキ」、焼酎用として「ムラサキマサリ」などの高アントシアニン品種が栽培されているが、さらに色素原料用カンショの生産を振興して地域産業の活性化を図るため、「アヤムラサキ」より色素含量が高い品種が要望されている。そこで、「アヤムラサキ」の形状が乱れやすい等の栽培特性を改善し、色素含量を向上させた高アントシアニン品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「九州148号」は、平成8年に高アントシアニンで加工適性が高い「アヤムラサキ」を母、外観が優れるアントシアニン系統の「九系174」を父として交配し、選抜した系統である。
  • アントシアニン色素含量(色価)はいずれの栽培条件でも「アヤムラサキ」より高い(表1)。
  • いもの皮色は濃赤紫、肉色は紫で、いもの曲がりやくびれ等がなく、外観は「アヤムラサキ」より優れる(図1)。
  • 上いも重は「アヤムラサキ」並で、「コガネセンガン」より低い(表1)。
  • サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強」で「アヤムラサキ」より優れる。ミナミネグサレセンチュウにも「強」の抵抗性を示し、黒斑病には「中~弱」である(表1)。
  • 貯蔵性は「やや易」で、「アヤムラサキ」より若干劣る(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 宮崎県の加工用カンショ作地域で色素原料用として普及に移される予定である。
  • 黒斑病抵抗性が中~弱であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。
  • 本系統のペースト、パウダーは「アヤムラサキ」と色調が異なるので(表2)、利用に際しては実需者との事前確認が必要である。

具体的データ

表1 九州148号の特性概要

 

表2 パウダーとペーストの色調 図1 九州148号の塊根

その他

  • 研究課題名:暖地向き優良かんしょ品種の育成
  • 課題ID:07-03-01-01-04-04
  • 予算区分:交付金、ブラニチ4系
  • 研究期間:1999~2004年度
  • 研究担当者:吉永 優、熊谷 亨、甲斐由美、石黒浩二、中澤芳則、片山健二、境 哲文、山川 理