RT-PCRによるウリ類退緑黄化ウイルスの感染診断

要約

ウリ類退緑黄化ウイルスの感染が疑われるメロンおよびきゅうりからRNAを抽出し、特異的プライマーを用いたRT-PCRにより感染を診断することができる。

  • キーワード:ウリ類退緑緑黄化ウイルス、RT-PCR、迅速診断
  • 担当:九沖農研・暖地施設野菜花き研究チーム、熊本農研セ・生産環境研、熊本農研セ・農産園芸研、大分農林水産研・安全農業研、佐賀農研セ・有機・環境農業部、宮崎総農試・生物環境部
  • 代表連絡先:電話096-242-1150
  • 区分:九州沖縄農業・病害虫
  • 分類:研究・普及

背景・ねらい

2004年、熊本県北部のメロン栽培地帯において、展開葉に不鮮明な黄化斑点または小型の退緑斑を生じ、最終的に葉全体が黄化する障害が発生した。2008年までに九州全県で本症状の発生が確認され、きゅうりやスイカにも同様の症状が発生している。本病は、タバココナジラミ(バイオタイプBおよびバイオタイプQ)により媒介される新規クリニウイルスであるウリ類退緑黄化ウイルスの感染によって起こることが明らかとなった。そこで、本ウイルスの塩基配列情報に基づき感染診断法を開発する。

成果の内容・特徴

  • ウリ類退緑黄化ウイルスの塩基配列に基づき設計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いたRT-PCRにより、退緑黄化症状を示した葉から抽出したRNAよりウリ類退緑黄化ウイルスが検出できる(図1)。
  • 1%アガロースゲル電気泳動により462 bp(約0.5 kbp)の増幅断片が確認された場合、本ウイルスが感染していると判断する(図2)。
  • 下位葉に退緑黄化症状が見られる場合、黄化が進んでいない上位葉からも本ウイルスが検出できる。
  • 発病株に寄生するタバココナジラミ1頭からも同様に検出が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 本ウイルスの植物体内の濃度は極めて低いため、電子顕微鏡観察による感染診断は困難であり、RT-PCRによる診断が必要である。RNAを抽出する際は明瞭な黄化を生じた葉の葉脈部を含むようにサンプリングすることが望ましい。
  • RT-PCRの反応条件は使用する反応試薬や機材により最適化を要する場合がある。
  • キュウリ黄化ウイルス(Beet pseudo-yellows virus, BPYV)による黄化症状と病徴が類似しているため、本法で増幅断片が確認できなかった場合は、キュウリ黄化ウイルスの感染を疑うこと。

具体的データ

図1. RT-PCR によるウリ類退緑黄化ウイルスの検出手順

図2. 電気泳動によるウリ類退緑黄化ウイルス特異的増幅の確認

その他

  • 研究課題名:d.暖地における簡易施設等を活用した野菜花きの高収益安定生産技術の開発
  • 課題ID:213-d
  • 予算区分:交付金、高度化事業
  • 研究期間:2006~2010年度
  • 研究担当者:奥田充、行徳 裕、岡崎真一郎、古田明子、衞藤友紀、溝辺 真、久野公子、林田慎一
  • 発表論文等:「新規クリニウイルスによるメロン退緑黄化病(新称)の発生」行徳 裕・岡崎真一郎・古田明子・
                        衞藤友紀・溝辺真・久野公子・林田慎一・奥田 充、日本植物病理学会報 75(印刷中)