汎用GISを利用した飼料生産支援用データベースの構築と運用方法

要約

市販汎用GISとExcelを用いて大規模飼料生産における作業計画の策定、指示書の作成、各種集計作業を効率的に行うことができるシステムを実証した。GPSロガーによる作業履歴の電子化も可能であり、広域かつ分散した圃場の作業・会計管理に有効である。

  • キーワード:飼料生産、コントラクタ、TMRセンター、GIS、GPS
  • 担当:九州沖縄農研・イネ発酵TMR研究チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-1150
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地、畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

コントラクタやTMRセンター等の生産組織による大規模な飼料生産を効率的に行うには作業計画の策定や圃場の管理、作業料金の集計等の運営・管理手法が重要である。しかし、大面積の作業圃場が広域に分散している組織では圃場情報の管理が必ずしも適切に行われていない。そこで、市販汎用GIS(地図表示が可能なデータベースシステム)を用いた飼料生産支援用データベースの構築と運用方法を、TMRセンターのトウモロコシ生産を例に実証する。

成果の内容・特徴

  • 圃場位置、データを反映した色分け表示等、地図上に可視化された圃場情報を用いて、作付計画や作業計画の策定から作業指示書の作成、作業者・作業日等の履歴の入力・管理、作業料金や地代の集計、帳票作成が可能である。試験対象のTMRセンターは約130haの圃場(約400筆)でのトウモロコシ2期作栽培(年間延200ha)にデータベースを利用している(表1)。
  • GISエンジンは価格、機能、操作性、データ形式、カスタマイズ等による拡張性を考慮し選定する。事例ではこれらの基準を包括的に満たし、Excelとの連携が容易なことを重視しESRI/ArcViewを用いている。背景図には国土地理院撮影の空中写真を用いる。圃場図の作成ではシステム導入前に作業機にGPSロガーを載せて作業履歴を収集することにより、システムの写真上で圃場を識別でき、圃場図を作成することができる。事前調査が困難な場合は写真印刷物に組合員各自が耕作圃場を書き込み、それを元にシステム上で圃場図を作成する(図1)。
  • デフォルトの条件別色分け表示(カラーレンダリング)機能を用いれば作業計画の策定や作業指示書の作成を行うことができる。圃場図には任意のデータ項目を設定・入力が可能で、色分け表示を行うことができる(図2左)。作業履歴は作業日誌を基にデータ入力することもできるが、GPSロガーを作業機に搭載すれば履歴を電子データ化できる(図2左)。
  • 収集・入力したデータはExcelのデータベース接続機能でExcelワークシート上に展開できる。展開されたデータを用いて各種集計を行うことができ、作業担当者別の作業圃場一覧作成や作業面積の集計等を簡易に行うことができる(図2右)。

成果の活用面・留意点

  • 九州南部の飼料生産組織においても導入・運用が始まっている。また、飼料生産組織に限らず多様な農業生産組織に適用可能である。
  • 飼料生産支援用データベースの構築と具体的な運用方法の詳細は、下記参照とする。(http://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/second_term team/tmr/index.html)
  • 国土地理院空中写真の使用には国土地理院から使用承認を受ける必要がある。

具体的データ

表1 事例における運用内容

図1 データベースの構築、運用フロー

図2 マップ画面上での利用イメージとExcelでの各種集計

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした飼料用稲低コスト生産技術及び乳牛・肉用牛への給与技術の確立
  • 中課題整理番号:212b.5
  • 予算区分:基盤、委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:西村和志、佐藤健次
  • 発表論文等:西村(2009)農業経営研究、47(2):45-50