圃場情報および利用管理の一元化はコントラクタの収穫作業効率を改善させる

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要約

分散圃場の収穫を担うコントラクタでは、圃場情報および利用管理の一元化を行うことにより収穫機械の圃場間移動距離と圃場間移動時間が短縮され、収穫作業効率(圃場間移動効率)が改善する。

  • キーワード:コントラクタ、一元管理、GPS
  • 担当:九州沖縄農研・イネ発酵TMR研究チーム
  • 代表連絡先:電話096-242-1150
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地
  • 分類:技術及び行政・参考

背景・ねらい

コントラクタの広域展開は圃場の分散問題を伴い、圃場間移動距離、時間が増加することにより規模拡大に伴う作業効率の低下が指摘されている。しかし、大規模化、広域化に伴う圃場間移動の実態と作業効率に及ぼす影響は明らかになっていない。そこで、200ha規模の飼料用トウモロコシの収穫作業を受託するコントラクタを対象にGPSを利用して広域化に伴う圃場間移動の実態を明らかにするとともに、TMRセンターの圃場情報、利用管理の一元化を介した収穫作業効率(圃場間移動効率)の改善効果を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • TMRセンター(以下センター)の設立により構成員の農地利用は一元管理することが可能となり、圃場間の移動効率を考慮に入れた作業計画の策定を行えるようになる(表1)。
  • コントラクタはこれまで農家毎に作業計画を策定、実施してきたが、センターの一元管理に基づく一括作業受託と圃場間移動効率を考慮に入れた作業計画により、近接圃場の作業を優先できる作業体制をとることができる(図1)。
  • センター設立前は当該規模における収穫作業面積に対する圃場間移動距離(総移動距離(m)/総収穫面積(10a))は490m/10aであり、収穫作業時間に占める圃場間移動時間の割合(総移動時間/総収穫時間)は26%である(表2)。
  • センター設立後は個別対応ではなく、センターの圃場情報、利用管理の一元化を介することにより、収穫作業面積に対する圃場間移動距離は300m/10a、収穫作業時間に占める圃場間移動時間の割合は17%まで減少し、コントラクタの圃場間移動効率は改善される。

成果の活用面・留意点

  • コントラクタ主導で行う利用者間の農地利用調整や作業計画の一元化において、その効果の参考情報として利用できる。
  • 行政担当者において農地の面的集積の効果に関する参考情報として利用できる。
  • 収穫作業時間はハーベスタの圃場内作業時間と圃場間移動時間を示す。調査はコーンハーベスタにGPSロガーを搭載し、センター設立前(2007年)と設立後(2008年)のトウモロコシ1期作目収穫を対象に行った。両年でコントラクタの収穫面積は若干異なる。
  • 分散圃場の一元管理・計画には、事例と同等もしくは代替する支援システムが必要である。事例で利用しているシステムとして、成果情報「汎用GISを利用した飼料生産支援用データベースの構築と運用方法」を具体的に参照されたい。

具体的データ

表1 作業計画の策定と実施方法の違い

図1 センター設立前後の作業実施経路例

表2 収穫作業における圃場間移動距離・時間とセンター設立による改善効果

その他

  • 研究課題名:地域条件を活かした飼料用稲低コスト生産技術及び乳牛・肉用牛への給与技術の確立
  • 中課題整理番号:212b.5
  • 予算区分:基盤、委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:西村和志
  • 発表論文等:西村(2009)2009年度農業経済学会論文集:158-165