サツマイモの2倍体近縁野生種のAFLP連鎖地図

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要約

サツマイモと同質のゲノムを持つ2倍体近縁野生種Ipomoea trifidaのF1集団を用いてAFLP連鎖地図を作出した。母親側の連鎖地図は全長910cM で17連鎖群からなり、サツマイモの有用形質関連遺伝子座の所属連鎖群の決定や座乗位置の比較に用いることができる。

  • キーワード: サツマイモ、近縁野生種、DNAマーカー、連鎖地図
  • 担当:九州沖縄農研・サツマイモ育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話0986-24-4270
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、作物
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

サツマイモは南九州畑作地帯の基幹作物であり、育種における病虫害抵抗性や栽培特性の改良にDNAマーカーの活用が期待されているが、染色体数が多く (2n=6x=90) 遺伝様式が複雑であることから、全ゲノムをカバーする連鎖地図の作出は極めて困難であり、また異なる交配組合せに由来するAFLPマーカーは他品種への適用が困難である。そこで、サツマイモ由来のAFLPマーカーのReference linkage map (参照用連鎖地図) として、サツマイモと同質のゲノムを持ち、かつ遺伝様式が単純な近縁野生種Ipomoea trifidaの2倍体植物を用いてAFLPマーカー連鎖地図を作出する。

成果の内容・特徴

  • 2系統のI. trifida (母親系統「0431-1」×父親系統「Mx23-4」) 間の交配によって得られた92個体のF1集団を供試する。72プライマー組を用いて得られたAFLPマーカーのうち、期待分離比1:1に適合するものについてJoinMap4ソフトウェアを用いて各連鎖群に群別し、連鎖解析を行って両親別の連鎖地図を作出する。
  • 母親由来のAFLPマーカーによる連鎖地図は17連鎖群からなり、全長は910.0cM (マーカー数618個)、父親由来の連鎖地図は15連鎖群からなり、全長は503.3cM (マーカー数163個) である (図1; 父親側連鎖地図についてはデータ省略)。

成果の活用面・留意点

  • 本連鎖地図は、サツマイモ由来のAFLPマーカーの所属連鎖群や座乗位置を比較するためのReference linkage mapとして利用できる。
  • サツマイモ由来のAFLPマーカーを本連鎖地図上へマッピングする場合、STS化を行った後、上記のF1集団を供試して当該STSマーカーの遺伝子型の決定と連鎖解析を行う。
  • 2倍体I. trifida の染色体の基本数は15であることから、今後DNAマーカーの種類や数を増やして解析を進めることにより、最終的には母親側の連鎖群についても15個に収れんする必要がある。

具体的データ

図1 2倍体Ipomoea trifida のF1集団を用いて作成した母親側のAFLP連鎖地図

その他

  • 研究課題名:良食味で加工適性に優れた甘しょ品種の育成と新たな有用特性を持つ甘しょ育種素材・系統の開発
  • 中課題整理番号:311e
  • 予算区分:基盤、交付金プロ(形態・生理)
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:中山博貴、田中勝、高畑康浩、吉永優
  • 発表論文等:Nakayama et al. (2010) Trop Agr Develop 54(1): 9-16