リン酸肥料代替資材としての畜ふん燃焼灰

要約

ブロイラー鶏ふんや牛ふんなどを原料として、燃焼により熱エネルギーとして利用する際に発生する畜ふん燃焼灰は、リン酸肥料の代替資材として利用可能である。畜ふん燃焼灰に含まれるリン酸は、そのほとんどがく溶性リン酸であり作物が利用可能である。

  • キーワード:畜ふん燃焼灰、リン酸、肥料代替
  • 担当:バイオマス利用・地域バイオマス利用
  • 代表連絡先:q_info@ml.affrc.go.jp、Tel:096-242-7682
  • 研究所名:九州沖縄農業研究センター・畑作研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

南九州では畜産経営が盛んで家畜糞尿の賦存量が必要量に比較して大幅に過剰であり、畜産糞尿などの熱エネルギー利用が期待され技術開発が行われている。畜ふんは熱エネルギー利用をすることでバイオマスの減量化も可能となる。畜ふん燃焼灰はリン酸の含有量が多いことが知られているが、リン酸肥料の原料であるリン鉱石は有限の資源であり資源の枯渇が心配されている。このため、畜ふん燃焼灰を肥料利用し物質循環を行うことは重要である。そこで、畜ふん燃焼灰の作物栽培での利用を拡大するために、畜ふん燃焼灰に含まれるリン酸の肥料利用について検討する。

成果の内容・特徴

  • ブロイラー鶏ふん燃焼灰および牛ふん堆肥ペレット燃焼灰は窒素がほとんど含まれず、カリに比べリン酸を多く含み、pHが高い(表1)。全リン酸に含まれる水溶性リン酸の割合は、鶏ふん燃焼灰0.2%、牛ふん堆肥ペレット燃焼灰1.3%と低く、水溶性リン酸はほとんど含まれていない。一方、全リン酸に含まれるく溶性リン酸の割合は鶏ふん燃焼灰92.2%、牛ふん堆肥ペレット燃焼灰99.3%と高いことから、燃焼灰に含まれるリン酸はそのほとんどがく溶性リン酸である。
  • リン酸供給量の少ない黒ボク土壌を用いたコマツナ栽培試験では、鶏ふん燃焼灰、牛ふん堆肥ペレット燃焼灰を全リン酸量が熔成リン肥と等しくなるように施用することで、熔成リン肥を施用した区と同等以上の乾物収量が得られる(図1)。このとき鶏ふん燃焼灰、牛ふん堆肥ペレット燃焼灰の施用による発芽障害、生育障害は見られなかった。
  • コマツナのリン酸吸収量は鶏ふん燃焼灰、牛ふん堆肥ペレット燃焼灰ともに熔成リン肥を施用した区と同等以上である(図2)。この結果、鶏ふん燃焼灰、牛ふん堆肥ペレット燃焼灰は、熔成リン肥と同等以上の相対リン酸吸収率を示し(表2)熔成リン肥代替資材として利用可能である。

成果の活用面・留意点

  • 地域内で産出される畜ふん燃焼灰の利活用の参考資料とする。

具体的データ

図1

その他

  • 中課題名:地域資源を活用したバイオマス循環利用システムの開発
  • 中課題整理番号:220e0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2015年度
  • 研究担当者:小林透、田中章浩
  • 発表論文等:小林、田中(2015)日作紀、84(3):309-314
法人番号 7050005005207