農産物の色彩変化の記録に適した画像解析システム

要約

農産物を恒温器中で加熱し、表面色、肉色などの変化を測色値とカラー画像で解析するシステムを開発した。省電力型の恒温器、色彩色差計、ノートパソコンの組み合わせにより、一般車両を利用して試験圃場でカンショの褐変などを精度良く評価できる。

  • 担当:農業研究センター・作物生理品質部・上席研究官
  • 連絡先:0298-38-8951
  • 部会名:作物生産
  • 専門:栽培
  • 対象:いも類,果菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

農産物の品質評価は、外観形質に大きく左右されるため、流通、加工時における表面色、肉色などの変化を精度良く解析することが求められている。本研究では、農産物を一定条件下で加熱し、色彩の変化を測定値とカラー画像で解析するコンパクトな画像解析システムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 農産物の色彩の変化を解析するために恒温器、色彩色差計(CR-300、ミノルタ)、ノートパソコン、インクジェットプリンタを組み合わせたコンパクトな画像解析システムを開発した(写真1)。試料を恒温器(EY100、37°C、富士製作所)で加熱した結果、色彩の変化を再現性良く調べることができた。乾燥による切片の白色化は、ポリアセタール樹脂製の密封型の試料セルを作製して防止した。
  • システムを省電力機器の組み合わせで構成した結果、一般車両に搭載して試験圃場で測定ができるようになった。測色値は、色彩解析ソフト(彩チェック、コアサイエンス)でカラー画像に変換し、試験圃場などで農産物と比較して色再現性を視覚的に確認することが可能となった。
  • 試験圃場でカンショをセラミックスナイフで切断後、ワイヤカット放電加工機で作製した打ち抜き器(刃高5~8mm)で円筒形にくり抜いて肉色の褐変(Browning)を測定した(表1)。経時変化は、DE*(ab)値(明度およびa*、b*値のベクトルの距離)を指標として示した(図1)。カンショの変色の難易度は、切断後10分間の測定で評価できた。β-カロチンイモのヘルシーレッドの変化は緩慢で、20分間以上の測定が必要であった。

成果の活用面・留意点

  • 試験圃場で作物の葉色、農産物の表面色などをデータ化して、カラー画像で再現できる。達観と併用することより育種、栽培の試験における外観形質の記録の効率化と精度向上が期待できる。
  • 流通・加工の現場で農産物の変色を正確に記録できるため、貯蔵、加工技術の評価および向上に役立つ。

具体的データ

写真1:乗用車のトランクルームに搭載したカラー画像解析システム

表1:色彩色差計によるカンショ切片の測色値

図1:カンショ切片の肉色の(DE*(ab))の変化

その他

  • 研究課題名:カンショの黒変化因子の迅速測定法の開発
  • 予算区分:高収益畑作
  • 研究期間:平成9年度(平成7~9年)