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畑土壌から抽出したリン脂質に含まれる脂肪酸の含量から細菌バイオマスが推定できる。グルコース添加土壌でのグラム陽性菌の変動はリン脂質a15:0含量により推定可能である。
土壌中の細菌バイオマスは一般に直接検鏡法による菌体の重量換算値が用いられているが、菌の計数に熟練を必要とし、労力がかかる。細菌の細胞膜由来の物質であるリン脂質には動植物・糸状菌にはほとんど含まれない分枝脂肪酸(i15:0,a15:0,i16:0,i17:0,a17:0,p10-17:0など)、環状脂肪酸(17:0cyc,19:0cyc)、バクセン酸(18:1ω7)などがあり、これらの脂肪酸の総和は土壌リン脂質脂肪酸全体の50%以上を占める。 ここでは各種の畑土壌について、土壌リン脂質脂肪酸含量・組成と、直接検鏡法による細菌バイオマス、希釈平板法による単離菌体の脂肪酸組成を比較して土壌細菌バイオマス・フロラの変動解析を行った。
灰色低地土、赤色土、厚層多腐植質黒ボク土のpHを6.5、土壌水分を最大容水量の 60% に調整し、乾土0.5%のグルコース添加、セルロース添加、および無添加の条件で3-56日間25°C暗所で培養し、経時的に土壌リン脂質を抽出・分析した。
図1
:土壌リン脂質脂肪酸含量と直接検鏡法による細菌乾物重の相関
図2
:グルコース添加による土壌リン脂質脂肪酸、a15:0の変動
表1
:淡色黒ボク土から単離した細菌菌株のグラム陰性・陽性テスト、脂肪酸組成