圃場面画像マッピングシステム

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要約

地上走行しながら連続的に圃場面の局所撮影を行い、GPSから得られる位置情報に基づき、圃場全体の平面画像として合成表示するシステムである。本システムは、局所栽培管理のための情報収集システムとして利用できる。

  • 担当:北陸農業試験場・ 総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:0255-26-3218
  • 部会名:営農・作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

大区画圃場における作物の生育環境や生育状態を知るには、多様な情報を大量に含む画像情報の収集・解析が効率的である。しかし、従来からの衛星や航空機による画像収集は、気象条件の影響を受けやすいうえ、圃場内の局所管理を行うためには解像度が十分でない。さらに、無人ヘリの場合は、操縦に熟練を要すること、撮影機器操作や安全確認のための人員が必要であることなどの問題もある。そこで、気象条件に左右されにくく技術上の制約が少ない、トラクタを用いた地上からの画像情報収集システムを開発し、施用量可変施肥等、大区画圃場の局所栽培管理のための基盤技術として活用を図る。

成果の内容・特徴

  • 本システムのハードウェアは、トラクタ後部の支柱に鉛直下向きに固定されたカメラ、その直上に取り付けられたGPSアンテナ、トラクタに搭載されたパソコン、GPS受信機、及び電源等その付属機器で構成されている(図1)。カメラはパソコンに接続できるものならどのようなものでもよく、また、カメラの視野、方向、レンズフィルタの使用に関する制約は特にない。
  • 本システムのソフトウェアは、移動撮影中における画像データと位置データをパソコンに入力する情報入力プログラム、撮影終了後に画像の向きと最適縮小率を算出して圃場全体の平面画像として表示する画像合成プログラム、距離、面積、座標表示、及び局所原画像を表示する分析プログラムで構成されている(図2)。撮影間隔は、経過時間毎、または、移動距離毎に自由に設定できる。
  • 本システムにより、地上数mの近接撮影でありながら、空撮と同様の圃場全体の平面画像が得られる。図3は、1haの水田において、カラービデオカメラで撮影した局所画像658枚の合成例である。さらに、合成画像の任意の点をクリックすれば、図4のように同一地点の原画像が拡大表示され、必要に応じて詳細な画像解析が可能になる。1ha水田の撮影所要時間はおよそ2時間である。

成果の活用面・留意点

  • 空白のない圃場全体の合成画像を得るためには、各画像が少しずつ重なるように撮影する。このためには、画像取り込み間隔を、ビデオカメラの進行方向の撮影範囲(図1)以下に設定する必要がある。
  • 支柱の揺れにより画像が劣化するので、現状では、移動速度の限界は0.4m/sである。
  • トラクタ以外の移動手段を用いても良い。農業以外の分野でも利用できる。
  • 画像マッピングシステムとして特許出願中である。

具体的データ

図1.システム構成 図2.処理の流れ

 

図3.画像マッピングシステムによる合成画像

 

図4.図3におけるa地点の局所原画像

 

その他

  • 研究課題名:生育情報収集処理技術を活用した低投入型高品質稲作営農システムの確立
  • 予算区分:実用化促進(地域総合)
  • 研究期間:平成11年度(平成10~14年)
  • 発表論文等:画像マッピングシステムの開発, 農機誌,(掲載予定)