野菜連作圃場を利用した線虫害回避と3年輪作によるダイズシストセンチュウの抑制

要約

ダイコン、サトイモ、エダマメには特有の線虫が複数加害するが、主な加害線虫が異なるため、これら野菜の連作圃場は互いに好適圃場となる。また、ダイコン連作圃場はサトイモ1作でダイコンの線虫被害を顕著に低減させる。寿命の長いダイズシストセンチュウに対してもダイコンとサトイモの3年輪作の効果がある。

  • 担当:農業研究センター・耕地利用部・野菜生産研究室
  • 連絡先:0298-38-8529
  • 部会名:野菜・花き
  • 専門:栽培
  • 対象:根菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

近年、野菜生産において連作障害が大きな問題となっているが、ダイコン、サトイモ、エダマメの輪作でダイコンとサトイモを加害する複数の線虫を抑制できることを既に明らかにした。しかし、連作が避けがたい場合、連作圃場を交換したり、連作障害が発生した時の対処策、あるいは寿命が長く3年輪作では抑制しにくいダイズシストセンチュウに対する対策なども必要である。このため、従来の殺線虫剤、マリーゴールドなどの対抗植物を用いず、一般に栽培される野菜の組み合わせで、環境保全的な対処法を開発しようとした。

成果の内容・特徴

  • ダイコン、サトイモ、エダマメの各々3作物の連作跡は、エダマメとダイコンが不適なことを除き、互いに好適である。これは、互いに主たる加害線虫が異なるが、エダマメではダイコンを加害するキタネグサレセンチュウも増殖するためである(表1)。
  • 長期のサトイモ連作圃場へ混作したダイコンには線虫の加害がなく好適であが、ニンジンでは、サツマイモネコブセンチュウによる根コブが発生し不適である(表2)。このように、野菜の連作圃場は適切な組み合わせをすることにより、他の野菜の好適圃場となる。
  • ダイコンを連作した圃場へサトイモを1作か2作あるいはエダマメ、サトイモと作付けることにより、顕著な線虫害抑制効果が認められる(表3)。
  • 寿命の長いダイズシストセンチュウの土壌密度は連作より輪作の方が高い場合があり、一見、輪作効果が無いないように思われるが、輪作の中で、ダイコンやサトイモの栽培時に密度が低下し、1作のエダマメ栽培で大きく増加するためである(表4)。
  • 輪作では、栽培開始前のダイズシストセンチュウの土壌線虫密度は、エダマメ栽培開始時で最も下がる(表5)。また、連作に比べ、生育がよく、葉の黄化も少ない(データ略)。
  • 小さな区画での連輪作試験のため、耕耘や管理作業による機械、人の出入りで線虫の侵入があったと考えられるが、本試験の輪作ではこれらを十分抑圧し、輪作効果が維持された。

成果の活用面・留意点

  • 常時は輪作体系をとることが困難な場合に、連作圃場を交換するなどの対処法として利用できる。また、ダイコンの連作障害を環境保全的に回復する場合に利用できる。
  • 関東地域におけるサトイモの線虫害は限定的にしか発生していなので、本線虫の増殖性は弱いと思われるが、九州では猛威を振るっており、各線虫の増殖性は地域性が有ることに注意をした上で利用する必要がある。
  • この3年輪作でダイズシストセンチュウに対する輪作効果が得られたが、エダマメ栽培直後の線虫密度が高い。輪作の中では、牛糞堆肥の施用で低く経過する傾向があり、このような補助手段等を更に開発する必要があろう。
  • 本輪作ではエダマメの代わりに普通大豆を用いると過繁茂で子実生産が低く、線虫抑制の点でも劣る。

具体的データ

表1:連作圃場の他の作物に対する好適度(新鮮重g/m2)

 

表2:サトイモの連作圃場に混作したダイコン、ニンジンの線虫害表3:ダイコン連作圃場へのサトイモ、エダマメの導入効果(線虫被害株%)

 

表4:3年輪作が収穫後のシストセンチュウの土壌密度に及ぼす影響

 

表5:植付前の表層土壌中の線虫密度

その他

  • 研究課題名:有機資材を活用した野菜導入技術開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成5年~11年)