地域内流通システムの確立に向けた店舗マーケティング戦略

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要約

地域内流通システムの確立に向けて、農産物・食料品購入における消費者の店舗選択基準を利用動機からあきらかにした。店舗の利用動機による主成分分析では各店舗のストア・イメージが抽出され、地域内流通システムに有効な店舗マーケティング戦略の方向性が示された。

  • 担当:農業研究センター・農業計画部・流通システム研究室
  • 連絡先:0298-38-8851
  • 部会名:総合農業
  • 専門:経営
  • 対象:青果物
  • 分類:研究

背景・ねらい

地元産農産物の地場消費という、生産と直結した農産物の地域内流通システムは地域農業維持の有効な一方策と考えられる。ここでは農産物・食料品購入におけ る消費者の購買行動を利用動機の点から分析し、地域内流通システムに有効な店舗マーケティング戦略を量販店、直売所別にあきらかにした。

成果の内容・特徴

  • 長野県上田市において一般市民を対象に行ったアンケート調査(うち有効回答数1,116件)から、日常的な食料品の購買行動について店舗選択の基準と利用 動機をあきらかにした。その結果、消費者の利用動機を主成分分析によってストア・イメージとして抽出することができた。また、同地域の生産者アンケート調 査(有効回答数309件)では、販路別の評価として直売所に対する支持が高く、直売所が地域内流通システムの重要な鍵となることが示された。
  • 消費者の店舗の利用動機(立地の利便性を除く)による主成分分析では、1以上の固有値を持つ成分が3つ抽出され、それぞれ第一主成分は店舗サービス、第二主成分は店舗設備を代表する軸と考えられる (表1)。
  • 主成分スコアのポジショニングでは、同一チェーン内の店舗がグループ化していることが示された。これは各チェーン間の小売市場内での棲み分け、販売マーケティング対応が消費者にとって明確に区別されていることを示している (図1)。
  • 一方、野菜生産者の直売所に対する評価については、「少量出荷が可能」「消費者の反応」「出荷作業が楽」といった点が評価されており、高齢化や遊休農地の増加が進む小規模産地生き残りの一つの方向性を示していると考えられる (図2)。
  • これらの結果から、地域内流通システム確立のための店舗マーケティング戦略としては、量販店等では鮮度感をアピールした地元農産物コーナーの設置、拡大と いった戦略が考えられる。また、直売所においては店舗間のイメージ統一や小規模ながらサービス対応を重視した運営が有効な戦略になると考えられる。

成果の活用面・留意点

消費者側からみたストア・イメージから、地域内流通システムに向けた店舗の新規設置、マーケティング戦略として応用が可能である。直売所については、地元消費型、観光型など利用形態別の消費ニーズを考慮する必要がある。

具体的データ

表1:利用動機による主成分分析
表1:利用動機による主成分分析

 

図1:ストア・イメージのポジショニング
図1:ストア・イメージのポジショニング

 

図2:野菜生産者の販路別評価
図2:野菜生産者の販路別評価

 

その他

  • 研究課題名:主要農産物の流通構造変化の影響分析
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成11年度(平成10年~12年)