カレー用調理米飯向き品種「華麗舞」

要約

「華麗舞」は寒冷地南部では中生の早に属する細長粒の粳種で、短稈、穂重型の品種である。炊飯米は、表面の粘りは少ないが、内部は 「コシヒカリ」並に軟らかいという米飯物性を示す。日本で市販されているとろみのあるカレールウと良く合い、カレー用調理米飯としての用途が期待される。

  • キーワード: イネ、調理用米、カレー
  • 担当:中央農研・低コスト稲育種研究北陸サブチーム
  • 連絡先:電話025-526-3239、電子メールseigo@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作物、作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

大量に消費されているカレーライスに適した品種を育成し、調理米飯製品として、米の消費拡大を図る。日本型品種は、粘りがあり、軟 らかく、日本人の嗜好性が高いが、表面の付着性が強いため米飯とカレーとの混合性が悪い。一方、印度型品種は表面の付着性は低いが、硬いため、我が国の消 費者の受容性が低い。日印交配により、両者の長所を兼ね備えた、とろみのあるカレールウにあう米飯物性を持つ水稲品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「華麗舞」は、カレーのルウになじみやすく、日本人の嗜好にあった調理米飯用品種の育成を目的とし、印度型品種「密 陽23号」と日本型品種「アキヒカリ」の交配により育成された。米が軟らかく、表層の粘りの少ない系統を官能評価により選抜し、機器による米飯物性の評価 を行い、さらに、カレールウへの適性を確認した。
  • カレールウを白飯にかけた際、「コシヒカリ」および「サリークィーン」よりも食味の評価が高く、カレールウに良く合う(表1、図1)。
  • テンシプレッサーでの低圧および高圧による物性測定では、「コシヒカリ」より、表層の硬さは硬く、粘りおよび付着性は少なく、全体の硬さおよび粘りは「コシヒカリ」と同等であり(表2)、表面の粘りは少ないが、内部は「コシヒカリ」並に軟らかい米飯物性を持つ。
  • 出穂期は「コシヒカリ」より4∼5日程度早く、育成地では“中生の早”、成熟期は5∼9日程度早い“中生の早”に属する粳種である(表3)。
  • 稈長は“短”、穂長は“やや長”、穂数は“少”、草型は“穂重型”で、脱粒性は“難”、耐倒伏性は“強”である(表3)。
  • 千粒重は「コシヒカリ」より2g程軽く、収量は、多肥では、「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」並で、標肥では、これらの品種よりやや少ない(表3)。
  • 穂発芽性は“やや易”、障害型耐冷性は“極弱”である。縞葉枯病に対して抵抗性で、白葉枯病耐病性は“やや弱”である。

成果の活用面・留意点

  • カレーライス等に好適な調理米飯製品の開発により、米の消費拡大に繋がる。
  • 「コシヒカリ」と同等の熟期で、同様な作付が可能である。栽培適応地域は、東北南部、北陸および関東以西の冷害常襲地を除く地域である。
  • 障害型冷害への耐冷性が極弱のため、冷害の危険のある地域での栽培は避ける。
  • PiaとPibのいもち病真性抵抗性遺伝子を持つため、現在のところ、いもち病の発病は認められないが、新レースの出現による発病の可能性があるため、発病が認められた場合、直ちに防除を行う。
  • 玄米が細いため、収穫した玄米の選別の際に、篩目の幅に留意する。

具体的データ

表1 カレー食味試験

 

図1 3品種・系統によるカレー食味比較

 

表2 「北陸149号」のテンシプレッサーによる米飯物性(食品総合研究所 平成16年度)

 

表3 「北陸149号」の栽培特性一覧

 

その他

  • 研究課題名: 寒冷地向き低アミロースを主体とした新形質米品種の育成
  • 課題ID: 03-12-01-01-08-05
  • 予算区分: ブランドニッポン5系、重点研究強化費、21世紀プロ5系、次世代稲作、新形質米、超多収
  • 研究期間: 1979∼2005年度
  • 研究担当者: 三浦清之、笹原英樹、後藤明俊、重宗明子、上原泰樹、小林 陽、古賀義昭、内山田博士、佐本四郎、藤田米一、太田久稔、清水博之、石坂昇助、山田利昭、中川原捷洋、奥野員敏、小牧有三、堀内久満、福井清美、丸山清明、大槻 寛