小明渠浅耕播種機を用いた大豆狭畦無中耕無培土栽培における灌漑特性

要約

小明渠浅耕播種機を用いた大豆の狭畦無中耕無培土栽培では、排水路としての小明渠を灌漑水路として活用することによって灌漑(小明渠灌漑)が可能である。小明渠灌漑において畦中央部に水が浸透する時間は、慣行畝立栽培の畝間灌漑とほぼ同等である。

  • キーワード:小明渠、浅耕、灌漑、大豆、土壌水分
  • 担当:中央農研・水田輪作研究東海サブチーム
  • 代表連絡先:電話059-268-4610
  • 区分:関東東海北陸・作業技術、共通基盤・作業技術、共通基盤・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、東海地域では省力・低コスト化のために大豆の狭畦無中耕無培土栽培が増加している。しかし、干ばつの場合に、一般的な狭畦無中耕無培土栽培では、灌漑を想定した水路が圃場内にないため、灌漑の実施は困難である。一方、小明渠浅耕播種機を用いた狭畦無中耕無培土栽培(以降,小明渠浅耕播種栽培と呼ぶ)では、小明渠が湿害軽減のための排水路として,播種機に取付けたサイドディスクによって播種と同時に形成される(2004年度研究成果情報)。そこで、小明渠を干ばつ時の灌漑水路として活用するため、小明渠浅耕播種栽培における灌漑時の水移動特性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 小明渠灌漑において、土嚢等を図1のように配置することで、水は用水口に接している額縁明渠を通して各小明渠へ迅速に配分される。また、このような処理は、隣接する圃場への漏水抑制にもつながる。
  • 小明渠灌漑における小明渠の水の移動速度は、慣行畝立栽培の畝間灌漑に比べて相対的に早い(図2)。
  • 小明渠灌漑では、小明渠への水の流入によって、畦の側方部、中央部下層、中央部上層の順に水が浸透する(図3)。
  • 小明渠灌漑において畦中央部に水が浸透する時間は、畝間灌漑の場合とほぼ同等である(図3)。
  • 小明渠灌漑における灌漑後の土壌水分の低下は、畝間灌漑の場合に比べて相対的に早い(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 大豆の小明渠浅耕播種栽培における小明渠を活用した灌漑技術確立のための基礎資料となる。
  • 暗渠のない20a程度の圃場で、流量460L/minの灌漑ポンプを使用した結果である。
  • 東海地域の主要品種「フクユタカ」については、小明渠浅耕播種栽培の播種適期は7月下旬であり、灌漑時期は8~9月の干ばつ時を想定している。

具体的データ

図1 灌漑試験の方法

図2 灌漑水の移動速度

図3 土壌水分の経時変化

その他

  • 研究課題名:関東・東海地域における高生産生水田輪作システムの確立
  • 中課題整理番号:211k.6
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:深見公一郎、谷尾昌彦、佐々木豊、建石邦夫、増田欣也、渡辺輝夫