研究者と生産現場が相互に情報を発信、共有できる雑草生物情報データベース

要約

雑草生物情報データベースは雑草情報検索システム、除草剤抵抗性雑草検索システム、外来雑草早期警戒システムの3システムにより構成され、発生、被害、防除法などの国内の雑草に関する最新情報を研究者と農業従事者が相互に発信、共有することができる。

  • キーワード:データベース、画像検索、発生分布、防除事例、外来雑草
  • 担当:環境保全型防除・生態的雑草管理
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・生産体系研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

我が国の土地利用型作物の生産現場では、外来雑草や除草剤抵抗性雑草などの慣行の除草体系では防除が難しい雑草が増加するとともに、これらの被害の増大が懸念されている。各地の雑草情報を一元的に管理して様々な場面で雑草管理に役立てるシステムが必要になっている。研究者や技術開発者と農業従事者、農業改良普及員等の生産現場における利用者が相互にリアルタイムに最新の情報を発信、共有、利用できるシステムを構築する。

成果の内容・特徴

  • 本データベースは雑草情報検索システム、除草剤抵抗性雑草検索システム、外来雑草早期警戒システム の3システムからなり、Web上で動くシステムである(図1)。
  • 雑草情報検索システムでは、和名、学名が不明な場合でも、形態、大きさ、対象作物等の検索条件に該当する草種の複数生育ステージの写真による画像検索が可能である。(図2)。本システムにおける総搭載種数は約1200種、和名対応種は約1000種、画像搭載種数は約600種である。さらに、草種別の生態的特徴の他、対象作物別の管理情報、発生分布情報を検索、表示することができる(図3)。
  • 防除事例については、雑草情報検索システムの管理情報画面の投稿フォームを利用して生産現場からデータベース(管理者)に情報を提供することにより、利用者間で有用情報を共有することができる(図3)。
  • 除草剤抵抗性雑草検索システムでは除草剤抵抗性雑草の確認情報、防除情報を検索でき、外来雑草早期警戒システムでは侵入段階に応じた管理優先上位種がランキング表示される。
  • 利用者はポータルサイトを利用して、不明の雑草の名前や防除方法などを生産現場から問い合わせることができる。さらに、雑草の発生分布、被害状況等の情報についてもデータベース(管理者)を介して、情報を発信することができる(図3、4)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:農業生産者、都道府県農業改良普及員等
  • 普及予定地域:全国
  • 本システムは、農研機構のWebサイトである生態的雑草管理プロジェクトポータルサイトからアクセスできる。
  • その他:本システムは、Webブラウザから利用するWebアプリケーションによって構築されている。2014年度のアクセス件数は3,580件、雑草同定依頼を主とする問い合わせ件数は36件であった。

具体的データ

図1~4

その他

  • 中課題名:生物情報に基づく帰化雑草の侵入・まん延警戒システムと長期的雑草管理法の構築
  • 中課題整理番号:152d0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2014年度
  • 研究担当者:中谷敬子、渡邊寛明、内野彰、浅井元朗、黒川俊二、今泉智通、小荒井晃、大段秀記、澁谷知子、西村愛子、岩上哲史
  • 発表論文等:中谷(2015)東北の雑草、14:12-17