オープン・フィールドサーバ及び高精細カメラモジュール自作のための公開コンテンツ

要約

Web上に作成した公開コンテンツを参考にすることで、現場の圃場情報をインターネット経由で取得できるフィールドサーバやカメラモジュールを、利用者が自身の技術や予算に合わせて簡単に入手・組立・設定・設置・利用することができる。

  • キーワード:フィールドサーバ、一眼レフカメラ、遠隔モニタリング、オープン化、自作
  • 担当:IT高度生産システム・農業情報統合利用
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・情報利用研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

これまでに、遠隔地から圃場の様子をリアルタイムに観測できるフィールドサーバが開発されている。しかし市販品は数十万円と高価であり、自作には専門的な技術や工具が求められるほか、様々な現場に適用するには状況に応じてカスタマイズする必要がある。
そこでオープン化の流れやクラウドサービスを活用するとともに、一般ユーザでも簡単に入手・組立・設定・設置・利用できるよう設計を見直した、新たなオープン・フィールドサーバや高精細カメラモジュールを開発し、それらの情報を公開コンテンツとする。

成果の内容・特徴

  • 部品表、図面、回路図、組立図、サンプルプログラム、運用マニュアル、更新情報などを載せた公開用ポータルサイトを http://fsds.dc.affrc.go.jp/data1/OpenFS/ に示す(図1)。
  • 利用者の技術や予算に応じて製作方法を選択できる。簡易な接着・半田付け作業のみの場合はオープン・フィールドサーバ/高精細カメラモジュール:約9万円/10万円、穴あけ・ケーブル製作なども自身で行った場合は約4万円/8万円となる(表1)。
  • オープン・フィールドサーバには6個(気温・湿度は標準装備)のアナログセンサが接続できる。コンピュータはArduino Unoを使用し、自由にプログラムが書き換え可能である。標準機能として、データをWeb上に表示するほかTwitter上に定期的に記録、省エネのための間欠動作駆動、接続機器の遠隔電源制御などが行える(図2)。
  • 高精細カメラモジュールではデジタル一眼レフカメラ(EOS Kiss)を内蔵し、屋外で長期的に数千万画素の写真を定期的に撮影できる。オープン・フィールドサーバに有線接続することで、Web上での画像閲覧やクラウドサービスへの自動転送が可能となる。ローカル運用(データは現地で回収)でよければ、単体でも利用できる(図3)。
  • 機器を運用するのに必要な、通信・電力の選定方法、管理ソフトの設定方法、データ収集・閲覧方法、データ欠損検知機能、などの情報も併せて公開されている。
  • 公開コンテンツのライセンスはGNU GPLに準ずる。ユーザは自由に利用・改良することができ、この情報を元に製品を販売・製作代行することをいとわないが、詳細はポータルサイト内の「著作権・免責事項・個人情報の取り扱い」に準拠する。

普及のための参考情報

  • 普及対象:市販品のフィールドサーバを使用したいが価格面などで断念している農業試験研究・普及機関職員、農業生産者など。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国。Webページに過去3カ月で1000件以上のアクセスあり。海外からの問い合わせも10件以上あり、英語ページも準備中。
  • その他:圃場観測装置を安価にカスタマイズ・自作したいユーザ向けの情報であるが、インターネット関係の設定や計測データについての最低限の知識は必要である。センサ出力は、精度の面からも事前に校正(最低2点)することをすすめる。主な使用方法や注意点などは、過去のフィールドサーバやカメラモジュール、管理プログラムやサポートツールなどの成果情報(2008年、2005年、2003年、2002年など)を参照のこと。

具体的データ

図1~3,表1

その他

  • 中課題名:多様な農業情報の効率的収集技術及び統合利用技術の開発
  • 中課題整理番号:160b0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2015年度
  • 研究担当者:深津時広
  • 発表論文等:
    1)Guo W. et al. (2015) Plant Methods 11(7): doi:10.1186/s13007-015-0047-9
    2)農研機構(2014)「オープンフィールドサーバ・ポータルサイト」 (2014年8月28日)