カラス侵入を確実に阻止できる網の目合は7cm×7cm以下

要約

カラス類の侵入を確実に阻止できる網の目合は7cm×7cmであり、強制的に通過させた場合には目合9cm×9cmまでの網を比較的容易に通過する。溶接金網を使う場合は7.5cm×7.5cmが勧められる。

  • キーワード:カラス、防鳥網、ネット、溶接金網、目合
  • 担当:基盤的地域資源管理・鳥獣害管理
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・情報利用研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

有害鳥による農作物への被害では、カラス類によるものが面積、量、金額すべてにおいて最大である。カラス類は農作物被害の他にも、畜舎への侵入や家畜の傷害、ゴミ集積所における生ゴミの散乱等、さまざまな問題を起こしている。雑食性のカラス類が好む食物が多量に存在する場所では追い払い対策の効果は低く、網を設置してカラス類の侵入を阻止する必要がある。しかし、カラス類の侵入を防ぐ網の目合は正確に解明されていない。野生動物が通過できる網や隙間の寸法は、動物の外見から受ける印象よりも小さいことが多いため、個体別に飼育したカラス類を用いた行動試験により、通過できる最小の目合を確定して、カラス類の侵入を阻止するための適切な網の目合を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ハシブトガラスとハシボソガラスが自発的に通る網の目合を確定するために、1m×1m、高さ1.2mの試験枠にポリエチレン撚糸(直径約1.6mm)で角目に編まれた網を張り、枠内に報酬飼料を置いて侵入させた自発的侵入試験では、網の目合40cmから始めて段階的に目合11cmまで小さくすると、目合12cm以下では侵入しなくなる(表1)
  • 強制的に通らせた場合に通れる最小の目合を確定するために、1m×0.6m、高さ1.2mで上面に扉を付けた試験枠内に試験個体を入れて脱出させる強制的脱出試験を、目合13cmの網から始めると、目合10cmまでは供試個体すべてが平均4秒未満の短時間で通過する。目合9cmでは通過できない個体が現れ、目合8cmでは5個体中4個体が通過できない。さらに目合7cmでは、供試個体すべてが通過できない(表2)。
  • 網目が変形しない溶接金網を用いた強制的脱出試験では、10cm格子で供試個体すべてが通過できないが(表2)、試験個体の中では大柄なハシブトガラスが網目に挟まった事例が1回あり、小柄な個体が網目に体をねじ込むようにした場合には通過できる可能性がある。

成果の活用面・留意点

  • 試験に用いた花栽培用の網「フラワーネット」(400 D×24本撚り)の市販規格は目合10cm以上であり、目合7cmのものは長さ300m以上から特注できる。
  • 市販の防鳥網の一般的な目合は2cm、3cm、5cm、10cm、12cm、15cmである。10cm目合と12cm目合の網は自発的侵入試験では通過しなかったが、強制的脱出試験では供試個体すべてが通過したことから、カラス類が好む食物が豊富な場所等では慣れて侵入される可能性が高く、市販の防鳥網を使用する場合は5cm目合のものが勧められる。
  • 溶接金網(別名ワイヤーメッシュ)を使用する場合は、10cm格子で実用に十分な侵入阻止効果が期待できるが、確実な侵入阻止とカラス類の挟まり事故回避には7.5cm格子以下が良い。

具体的データ

図1

その他

  • 中課題名:野生鳥獣モニタリングシステム及び住民による鳥獣被害防止技術の確立
  • 中課題整理番号:420d0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2015年度
  • 研究担当者:吉田保志子、山口恭弘、百瀬浩、佐伯緑
  • 発表論文等:吉田ら(2016) Anim. Behav. and Manag. 52:1-11
法人番号 7050005005207