ラジカル消去能とフラボノイドの分子構造の関係

要約

ケルセチンやカテキン、シアニジン等二つ以上の隣り合った水酸基を持つフラボノイドはラジカル消去能に優れている。この隣り合った水酸基に糖が結合した配糖体では、ラジカル消去が著しく低下する。

  • 担当:食品総合研究所・食品機能部・機能成分研究室
  • 代表連絡先:0298-38-8055
  • 部会名:食品
  • 専門:食品品質
  • 対象:青果物類、まめ類
  • 分類:研究

背景

ラジカルは反応性に富むため、体内では様々な疾病の原因になるものと推定され、その消去に関わる食品成分が注目されている。一方、植物性の食品に含有されるフラボノイドは抗酸化性に優れラジカルの消去作用を持つが、その化学構造が多様であるために構造とラジカル消去能との関係がまだ明確になっていない。そこで、本課題ではフラボノールやフラボン、カテキン等のようなフラボノイドの各グループにおけるラジカル消去能について、比較検討した。

成果の内容・特徴

  • フラボノイドは、図1に示したとおり化学構造の特徴からフラボノールやフラボン、ジヒドロフラボノール、フラバノン等に分けることができる。その中で図2に示したとおり隣り合った二つの水酸基(オルトジフェノール構造)を持つカテキンやシアニジン、ケルセチン等は強いラジカル消去能を持っていた。一方、オルトジフェノール構造を持たないフラボノイドでは、フラボノールに属するケンフェロールの活性が最も強かった。
  • フラボノールはフラボノイド骨格の3位に水酸基を持つ点がフラボンと異なっている。B環に水酸基を一つ持つケンフェロールとアピゲニンの比較から、この3位の水酸基がラジカル消去能を高めることが分かった。
  • 青果物等のフラボノイドは、糖が結合した配糖体として存在するものが多いことから、配糖体のラジカル消去能について検討した(図3)。その結果ケルセチンのB環の4’位に糖が結合するとラジカル消去能が著しく低下することが分かった。一方、3位あるいは7位に糖が結合した配糖体では、ラジカル消去能があまり低下しない。天然には、3位に糖が結合したタイプが多いことから、一般の植物は活性の強いタイプの配糖体として、フラボノイドを蓄積していることが分かった。

成果の活用面・留意点

農産物におけるフラボノイドの分布には際だった特徴があり、青果物にはフラボノールやフラボンが多く、樹木性の葉や果実にはカテキン類が、カンキツ果実にはフラバノン、マメ類にはイソフラボンが存在することから、この成果は農産物の種類と抗酸化能を考察する上で意義深い。
但し、ラジカルが関与する疾病の予防作用を正しく予測するためには、消化吸収過程を考慮する必要があるので、動物試験あるいは臨床試験が必要である。

具体的データ

図1 主なフラボノイド
図2 各種フラボノイドのDPPHラジカル消去能力比較
図3

その他

  • 研究課題名:食品由来のポリフェノール類の機能性に関する研究
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成10年度(平成6~10年)
  • 研究担当者:津志田藤二郎・小堀真珠子・八巻幸二
  • 発表論文等:大麦糠のプロアントシアニジンのラジカル消去機能、日食工誌、45(7)、420-525(1998).