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簡易DNA抽出剤を用いたPolymerase chaine reaction (PCR)法による、糞便中ヨーネ菌DNAの検出法を確立した。本法は、ヨーネ病の迅速診断法として有用であると同時に、分離用培地に増殖したヨーネ菌の迅速同定にも応用可能である。
家畜法定伝染病である牛ヨーネ病は、現在、ヨーネ菌分離培養法、ELISA抗体検査、ヨーニン皮内反応を基準診断法とした摘発、淘汰による防疫事業が進められている。特に、ヨーネ菌分離培養法は重要な診断法の一つであるが、本菌の分離培養には2カ月以上を必要とする為、本病の清浄化をより促進するには、現行の診断法に加え、早期に感染牛の摘発が可能な迅速診断技術の開発が望まれている。一方、ヨーネ菌遺伝子の解析が進み、本菌に特異的な遺伝子IS900が発見されたことにより、本遺伝子の特異配列をターゲットとしたPolymerase chaine reaction (PCR)による病原学的診断法が可能となった。本課題では、ヨーネ菌の迅速な検出、同定及び多検体処理法の確立を目的として、市販のDNA簡易抽出キットをPCR法に応用し、糞便からのヨーネ菌DNA検出による迅速診断法について検討した。
今回確立されたBio-Rad社のDNA簡易抽出剤(InstaGene Matrix)を用いる方法は、高い検出感度を示すと同時に、極めて操作が簡便で多くの検体を処理することが可能であり、ヨーネ病の迅速診断法として有用である。本PCR法は、糞便中のヨーネ菌DNAを高感度に検出する為に、増幅ステップを50サイクル繰り返すが、高感度であるが故に、反応系のコンタミネーションによる偽陽性に注意することが重要である。