オーエスキー病ウイルス感染が豚のA.pleuropneumoniae肺炎に与える影響

要約

オーエスキー病ウイルスが豚に感染すると、細菌感染に対する肺の防御機能に障害を与え、A.pleuropneumoniaeが急速に増殖して、呼吸器症状が悪化し、豚を死亡させることが明らかになった。

  • 担当:家畜衛生試験場研究第三部病理第1研究室
  • 連絡先:0298(38)7837
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:豚
  • 分類:研究

背景・ねらい

豚の慢性肺炎は、世界的にも重要な経済的な問題となっている。慢性肺炎の発生において、豚オーエスキー病ウイルスは重要な役割を果たしていると考えられている。豚の肺炎におけるオーエスキー病ウイルスとA.pleuropneumoniaeの混合感染による感染・発病機序を明らかにするため、これら2つの病原体を気管支ファイバースコープを用いてSPF豚の右肺後葉に投与し、その相乗作用を証明した。

成果の内容・特徴

  • 豚オーエスキー病ウイルス感染6日後、600CFU/3mlのA.pleuropneumoniae1型菌4074を9頭の豚の気管支内に投与した。これらの豚は重篤な臨床症状を示し、3日以内に4頭が死亡した。本ウイルス又はA.pleuropneumoniaeによる単独感染対照豚に比べて、混合感染では重篤な左右両葉性の出血性胸膜肺炎が確認された。
  • 免疫病理組織学的検査では、2つの異なる病変がみられた。1つは胸膜肺炎で、凝固壊死、水腫と線維素性血栓より構成されていた。これらの病変にはA.pleuropneumoniae菌抗原が証明された。他の病変は間質性肺炎で、気管支炎、細気管支炎、肺胞炎と硝子膜形成で特徴ずけられていた(図1)。これらの病変は、オーエスキー病ウイルス抗原と強く反応し、主に右肺後葉と副葉に限局していた。
  • オーエスキー病ウイルスに感染した全ての豚が、重度な胸腺萎縮を示した。
  • 肺気管支洗浄液におけるエンドトキシン濃度の検査値は、本ウイルス又はA.pleuropneumoniaeの単独感染対照で46pg/ml以下、混合感染による死亡豚で10865pg/ml以上であった(表1)。
    以上の成績からオーエスキー病ウイルスが豚に感染するとA.pleuropneumoniae感染による肺炎を増悪化させることが明らかになった。

成果の活用面・留意点

今回の成果のより、豚の慢性肺炎の発症機構の一端が解明され、本症の予防対策野確立のための有益な資料となる。

具体的データ

図1.不規則性の凝固懐死巣よりなる胸膜肺炎と間質性気管支肺炎

 

表1.豚オーエスキー病ウイルスとA.pleuropneumoniaeの混合感染による肺炎病巣の程度、病原微生物の分離、エンドトキシン濃度及び組織診断

 

その他

  • 研究課題名:オーエスキー病ウイルス感染と肥育豚の肺炎
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成3年度~平成7年度
  • 発表論文等:
    • J.Comp.Pathol.,109:335-344 (1993)
    • J.Comp.Pathol.,110:329-339 (1994)
    • J.Vet.Med.Sci.,57:839-844 (1995)
    • An immunohistopathological study of pneumonia induced in pigs following experimental infection with Aujeszky's disease virus and Actinobacillus pleuropneumoniae. (投稿中)