LPS(リポ多糖)誘導性遺伝子群の検索

要約

Differential Display法を用い、LPSで誘導されてくる遺伝子の大量解析を行った。免疫系に関与すると言われている既知の遺伝子群の他に新規の遺伝子クロ-ンが 多数得られた。これらの遺伝子の中に家畜の生体防御能の強化に役立つ遺伝子が存在する可能性がある。

  • 担当:家畜衛生試験場生体防御研究部生物物理研究室、農林水産先端技術研究所
  • 連絡先:0298(38)7741
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:生体防御
  • 対象:実験動物
  • 分類:研究

背景・ねらい

哺乳類の細胞では約10万種類の遺伝子が存在するが、個々の細胞ではその15%くらいが発現していると考えられる。どの遺伝子が発現するかは、臓器、細胞の種類(T cell、Bcell、マクロファージ)刺激の有無(感染、環境ストレス)など様々な条件によって変化する。Differential Display法はPCR法を利用した方法で、異なる状態にある細胞どうしの遺伝子発現を一度に比較するものである。今回は腹腔マクロファージにおけるLPS誘導性遺伝子のm-RNA3'領域を大量にクローニングした後、遺伝子配列の解析を行った。

成果の内容・特徴

  • LPS添加8時間後のmRNAを回収し、Differential Display法を行った。バンドの総数は3481本あり、そのうちLPS添加時のみ発現するバンドは103本であった(全泳動パタ-ンのうち一部のみ図示、図1)。
  • それらの全てのシーケンスを決定し、遺伝子配列を解析したところ、既知の遺伝子が43コあり、55コは既知の遺伝子とはホモロジーがない遺伝子配列であった(表1)。
  • ホモロジーが認められなかった遺伝子のうち、ノザンブロット法で3クローン(図2)、RT-PCR法で4クローンの遺伝子がLPS誘導性遺伝子であることを確認した(図3)。

成果の活用面・留意点

LPS誘導性遺伝子群の中に、マクロファージ機能の向上、免疫系の強化を狙える遺伝子が存在している可能性がある。またDifferential Display法を用いて病原因子誘導性遺伝子の検索、病態時に増減する遺伝子の検索、抗病性家畜と非抗病性家畜での遺伝子発現の比較を細胞レベルで行うことが可能となった。

具体的データ

図1.非刺激マクロファージとLPS刺激マクロファージのmRNAをDiffenrential Display法を用いて比較した。

 

表1.今回見出されたLPS誘導性遺伝子

 

図2.ノザンブロット法によるLPS誘導性遺伝子の検出。

 

図3.RT-PCR法によるLPS誘導性遺伝子の検出

 

その他

  • 研究課題名:感染及び疾患特異的遺伝子の検索
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成6年度~平成8年度
  • 発表論文等:
    • 第119回日本獣医学会講演要旨集、p.138(1995)
    • 第30回日米マイコプラズマ病部会講演要旨集、p.26(1995)
    • 第18回日本分子生物学会講演要旨集、p.511(1995)