BordeTella bronchiseptica 由来シアル酸特異的赤血球凝集素のマウス感染防御活性

要約

シアル酸特異的赤血球凝集素(SSHA)欠損BordeTella bronchiseptica 変異株を用いた感染試験から、マウス気管定着因子としてのSSHAの機能が推定された。また、SSHAによる免疫はB. bronchiseptica のマウス気管定着を強く阻害することが明らかとなった。

  • 担当:家畜衛生試験場製剤研究部細菌製剤研究室
  • 連絡先:0298(38)7850
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:豚
  • 分類:研究

背景・ねらい

豚萎縮性鼻炎の原因菌であるBordeTella bronchiseptica は、菌体表層のシアル酸特異的赤血球凝集素(SSHA)を介して豚鼻粘膜に付着することが、豚鼻腔上皮細胞および豚鼻腔ムチンを用いたin vitroの研究により明らかにされている。しかしながら、生体内でSSHAが呼吸器定着因子として機能し得るか否か、また、SSHAによる免疫がB. bronchiseptica の呼吸器定着を阻害し得るか否かは不明である。そこで本課題では、マウスを用いてこれらの点を明らかにした。

成果の内容・特徴

  • 鼻腔内接種後7日におけるSSHA保有株(A19)および欠損株(A19-712NH)のマウス(ddY, ♂, 63日齢)気管定着の強さを、50%気管定着菌量(CD50)により比較した。その結果、SSHA保有株(CD50: 104.5CFU)は欠損株(同: 107.0CFU)の102.5倍の強さの気管定着能を有することが明らかとなり(表1)、SSHAは生体内でも呼吸器定着因子として機能するものと考えられた。
  • 精製SSHA(20μg蛋白質)およびアジュバントを用いて免疫されたマウス(SSHA免疫マウス)におけるSSHA保有株の気管定着 の強さを、PBSおよびアジュバントを接種されたマウス(対照マウス)、ならびに無処置マウスにおけるそれと比較した。結果として、SSHA保有株の免疫 マウスにおける気管定着能(CD50: 108.7CFU[表2])は対照マウスおよび無処置マウスにおける気管定着能(同: それぞれ106.1CFU[表2]および104.5CFU[表1])よりも著しく弱いことが明らかとなり、SSHAによる免疫がB. bronchiseptica の呼吸器定着を強く阻害することが明らかにされた。

成果の活用面・留意点

呼吸器粘膜におけるB. bronchiseptica の感染機構の一端が解明された。また、原因菌の感染を初期段階で阻害し得る豚萎縮性鼻炎ワクチンの開発のために有用な基礎資料が得られた。

具体的データ

表1.B. bronchiseptica A19およびA19-712NHのマウス気管定着機能

 

表2.SSHA免疫マウスおよび対照マウスにおけるB. bronchiseptica A19の気管定着能

 


その他

  • 研究課題名:BordeTella bronchiseptica付着因子を利用した豚萎縮性鼻炎ワクチンの開発
  • 予算区分:官民交流共同
  • 研究期間:平成5年度~平成7年度
  • 発表論文等: 第116回日本獣医学会講演要旨集, p. 165 (1993)