PCR法によるアフラトキシン関連遺伝子の検出

要約

Aspergillus属カビのうちAspergillus parasiticusのアフラトキシン産生に関与する酵素遺伝子の存在を高感度で検出するPCR法を開発した。

  • 担当:家畜衛生試験場飼料安全研究部がん原性研究室
  • 連絡先:0298(38)7823
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:共通
  • 分類:普及

背景・ねらい

アフラトキシンはAspergillus属の一部のカビによって作られるカビ毒で,動物に対して強い急性毒性を示すとともに自然界で最も強力な発がん物質として恐れられている。東南アジアからアフリカにかけてのヒト肝癌多発地帯が高温多湿で穀物などのアフラトキシン汚染と一致することから,アフラトキシンは人間の肝臓癌の原因物質のひとつと考えられている。アフラトキシンの検出は抗体などの利用で可能になっているが,産生糸状菌の分析は容易ではない。そこで,アフラトキシン汚染防除対策の確立に寄与するため,産生菌Aspergillus parasiticusを高感度に検出できるPCR法を開発した。

成果の内容・特徴

(図1)

  • すでに報告されているAspergillus parasiticusの4種のアフラトキシン関連酵素遺伝子の塩基配列をもとに,それぞれ2組のPCR反応のためのプライマー分子を設計した。
  • 細胞壁の存在のため操作が煩雑で長時間を要する糸状菌のDNA分離条件を検討し,メタル・キサントゲン酸塩を用いた抽出法(Jhingan,1992)が分離効率が高いことを明らかにした。
  • 検討したAspergillus属の糸状菌(A.parasiticus,A.oryzae,A.sojae,A.flavus)のうち,Aspergillus parasticusのみに,目的遺伝子の特異的増幅が確認された(図3)。

成果の活用面・留意点

Aspergillus parasticusの遺伝子診断のために,4種のアフラトキシン関連酵素の遺伝子塩基配列をもとにPCR反応のためのプライマー分子を設計した。本プライマーはAspergillus属の糸状菌のうちでA. parasticusに特異性が高く,研究室保有の他のAspergillus属の糸状菌では明確なDNAの増幅は認められなかった。4種のプライマー対を用いたPCR法によりAspergillus parasticusの迅速な検出・同定が可能であり,Aspergillus parasticusによるアフラトキシン汚染の防除を進める上で有用であると考えられる。

具体的データ

 

図1.A.parasiticusのアフラトキシン合成関連遺伝子群のクラスターとPCR法で増幅される領域

 

図3.PCRにより増幅されたA.parasiticusのomt-1(1:1390dp),ord-2(2:1050bp),ord-1(3:1260bp),af1R(4:2800bp)遺伝子産物の電気泳動による検出

その他

  • 研究課題名:アフラトキシン等微生物の二次代謝産物関連遺伝子のDNA診断
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度~平成9年度
  • 発表論文等:1.家畜生化学3:19-24(1996)  2.日本醸造協会誌91:716-721(1996)