オーエスキー病ウイルス感染による消化管粘膜の病理学的検索

要約

野外で分離したオーエスキー病ウイルス強毒株が豚の消化管粘膜に感染すると,消化管の粘膜上皮細胞やリンパ小節を破壊し,末梢神経組織に侵入した。一方,オーエスキー病ウイルス弱毒変異株は腸管粘膜で病変を形成しなかった。

  • 担当:家畜衛生試験場病態研究部感染病理研究室
  • 連絡先:0298(38)7837
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:豚
  • 分類:研究

背景・ねらい

豚の急性および慢性下痢は成育を阻害し,世界的にも重要な経済問題となっている。最近,下痢を誘発する病原体として豚オーエスキー病ウイルスが明らかにされた。豚の腸管における感染機構と下痢・腸炎の病変形成機構を明らかにするため,豚の消化管にループを作製し,野外で分離した強毒株と弱毒変異株(ara-T耐性株)を接種し,ウイルスの粘膜組織への侵入経路とその特徴病変を明らかにした。

成果の内容・特徴

  • 開腹手術により,6週齢のSPF豚4頭の空腸と回腸にループを作製し,オーエスキー病ウイルスを接種した。
  • 野外で分離した強毒株(YS-81株とTC-94株)接種豚では,接種2日後に空腸の粘膜上皮直下の壊死病巣にウイルス抗原が検出された。
  • 3日後に壊死病巣は空・回腸の粘膜上皮細胞とパイエル板のリンパ小節に拡がり,組織病変に一致してウイルス抗原が検出された(図1~3)。
  • マイスネルとアウエルバッハ神経叢にも壊死病巣とウイルス抗原が検出された。
  • 弱毒変異株を接種した腸ループでは,粘膜病変は認められず,ウイルス抗原も検出されなかった。
    以上の成績から,野外から分離したオーエスキー病ウイルス強毒株は豚の消化管粘膜に感染し,消化管粘膜上皮細胞やリンパ装置を破壊し,末梢神経に侵入するが,弱毒変異株は腸管粘膜で病変を形成しないことが明らかになった。

成果の活用面・留意点

今回の成績より,オーエスキー病ウイルスによる下痢・腸炎の病変形成機構の一端が解明され,本病の診断および予防対策確立の有益な資料となる。

具体的データ

図1~図3

その他

  • 研究課題名:オーエスキー病ウイルス感染による消化器粘膜の病理学的検討
  • 予算区分:経常研究
  • 研究期間:平成8年度~9年度
  • 発表論文等:
    • Pathological changes in closed porcine intestinal loops inoculated Aujeszky's disease virus. J. Vet. Med. Sci., 58:809-810 (1996)
    • Enteric lesion induced by different Aujeszky's disease virus strains inoculated into closed intestinal loops in pigs. J. Vet. Diagnost. Invest., 10:36-42 (1998)