体細胞クローン牛の流・死産および早期死亡例の病理学的検討

要約

体細胞クローン牛に特徴的な病変は、臍帯が太く切れ易く、巨大胎子では肝臓の線維化が顕著であった。また、胸腺の未発達を特徴とする免疫系統、ホルモン異常を疑う内分泌系統、骨格筋の異常が多かった。

  • キーワード:牛、体細胞クローン、病理
  • 担当:動衛研・疫学研究部・病性鑑定室
  • 連絡先:電話029-838-7774
  • 区分:動物衛生
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

体細胞クローン牛は受精卵クローン牛に比べて、死産、生後直死、病死等が多く、生まれても50%弱の牛しか健康に発育しない。これらの原因を解明するために、わが国で作出されたクローン牛のうち、事故死あるいは流産した胎子を収集し、病理組織学的に検討した。

成果の内容・特徴

  • 1999年2月から2002年9月までに146頭を病理組織学的に検討した。
  • 計画的淘汰は23例(胎齢70日齢から生後392日齢)であったが、これらには病変は認められなかった。
  • 流・死産流が64例、生後直死が13例、5日以内の死亡が28例、6日以上生残したものが18例であった。
  • クローン牛に特異な病変としては、胎盤の異常、臍帯の異常(太く切れ易い、図1)、巨大胎子であった。
  • 主な病変は、甲状腺の異常27例(図2)、巨大胎子22例(図3)、免疫不全21例(図4)、胎盤の異常14例、骨格筋の異常11例、臍帯動脈の異常7例、股関節の異常3例、肺胞蛋白症2例であった。

成果の活用面・留意点

クローン牛の病変は、免疫系、内分泌系、骨格系と多様であったが、病変から示唆される異常を裏付けるために、ホルモンの定量等の内分泌学的側面や染色体異常の面から検討を加えることが必要である。

具体的データ

図1.分娩時に臍帯が切れ、腹腔内へ の大量出血により死亡した。 図2 . 甲状腺にコロイド形成がな い。胎齢175 日の流産胎子。

 

図3.巨大胎子に特徴的な肝線維化。 生後直死。 図4.胸腺皮質のリンパ球は著減し ており、免疫不全を示唆して いる。生後24 日。

その他

  • 研究課題:流・死産及び早期死亡の病理学的検討
  • 予算区分:委託プロ(体細胞クローン)
  • 研究担当者名:久保正法
  • 研究期間:1999~2002年度