蛍光染色試薬carboxyfluorescein diacetate succinimidyl (CFDA) および同succinimidyl estere (CFDA/SE) を用いたヨーネ菌の簡易生死判定と蛍光ラベル法

要約

ヨーネ菌の生存確認には数ヶ月の培養期間を要する。しかし、生きた細胞を染める蛍光染色試薬CFDAを用いて染色を行うことにより、ヨーネ菌の生死判別が簡易にできる。また、CFDA/SEは生菌死菌ともに強く蛍光染色し、生死菌の細胞・組織内トレースを行う場合の蛍光プローブとしての使用が可能である。

背景・ねらい

ヨーネ菌は家畜衛生、公衆衛生上も重要な病原菌である。しかし、ヨーネ菌の生存率を菌培養により確認するためには長時間を要し、ヨーネ病診断や研究推進上の困難な要因となっていた。そのため、ヨーネ菌の生菌と死菌を培養せずに簡便に区別する方法の開発が望まれていた。蛍光色素であるcarboxyfluorescein diacetate succinimidyl (CFDA) や同estere (CFDA-SE) は細胞内の酵素(エステラーゼ)によって分解されると蛍光を発することから、生きた細胞や菌を染めることができる試薬であるが、ヨーネ菌がどのような染色態度を示すかは知られていない。そこで、ヨーネ菌生菌および加熱死菌を用いてCFDAおよびCFDA-SEにより染色をし、ヨーネ菌の生死判定およびヨーネ菌の蛍光ラベルによるプローブ化に対する評価をする。

成果の内容・特徴

  • CFDA/SEとCFDAを用いてヨーネ菌生菌および死菌の染色態度および染色条件と蛍光強度の関係について検討した。その結果CFDAはヨーネ菌生菌のみを特異的に蛍光ラベルし(図1)、CFDA/SEは生菌と死菌を蛍光ラベルし、区別し得なかった(図2)。
  • この蛍光標識のヨーネ菌の活性に及ぼす影響を培養により確認したところ、いずれもヨーネ菌の増殖し、活性に影響を及ぼさないことが確認された。
  • また、CFDA蛍光ラベルしたヨーネ菌を生乳に混入し、毛細血管に充填し、遠心後の蛍光観察により検討をしたところ、毛細管底部の乳蛋白沈殿に混在する形で蛍光分布が観察できた。緑色蛍光により菌の局在がわかる(図3)。
  • 市乳にヨーネ菌を添加し、65℃30分加熱した試料と非加熱試料をCFDA蛍光ラベルし細胞遠心装置にて全量塗抹し蛍光顕微鏡で精査したところ、非加熱対照には蛍光ラベル菌を認めたが、加熱後には蛍光像は見られず、加熱殺菌効果が判定できた(図4)。

成果の活用面・留意点

  • ヨーネ菌を用いた実験室内での生菌の確認手法としてCFDAによる染色法はきわめて有効である。ヨーネ菌の生体内、細胞内トレース実験には、CFDA/SEは利用可能である。
  • ヨーネ菌を加えた牛乳中のヨーネ菌分布の研究に本技術は有用である。

具体的データ

図1 CFDA によるヨーネ菌、生菌、死菌 の数と蛍光強度 図2 CFDA/SE によるヨーネ菌、生菌、死菌 の数と蛍光強度

 

図3.毛細管底部の乳蛋白沈殿に混在す るCFDA 蛍光ラベルヨーネ菌 図4.非加熱対照(左)と、65°C30 分加 熱サンプル(右)のCFDA ラベル所見。

その他

  • 研究課題名:ウシ初乳・牛乳中のヨーネ菌の殺菌条件の検討
  • 課題ID:13-06-03-*-15-04
  • 予算区分:委託プロ/食品(II-308)
  • 研究期間:2003~2006年度
  • 研究担当者:百溪英一、Aodongeril、舒 宇静
法人番号 7050005005207