遺伝子組換えトウモロコシBt11はマウスの繁殖と生存性に影響しない

要約

マウスに害虫抵抗性遺伝子組換えトウモロコシBt11を混じた飼料を5世代にわたり与え、その繁殖、発生、成長、生涯生存性等への影響を評価したところ、非組換えトウモロコシ飼料で同様に飼育した群との間には差が観察されなかった。

背景・ねらい

近年、農作物の病害虫防除等の目的で、遺伝子組換え作物が開発されている。一方で、消費者には遺伝子組換え作物の安全性に対する漠然とした不安がある。従ってこれらの農産物が広く受け入れられるためには、遺伝子組換え作物の長期的な安全性の検討が不可欠である。マウスに害虫抵抗性遺伝子組換えトウモロコシBt11を混じた飼料を5世代にわたり与え、その発生、成長、繁殖、生涯生存性等への影響を評価する。

成果の内容・特徴

  • 検査項目:1Bt11あるいは非組換えトウモロコシ(対照)を68%含み、長期飼育に適した飼料を設計した。24週齢のICRマウスを親世代として子孫F1-F4世代を作出し、これらの飼料を給餌して摂食量、体重、膣栓形成率、分娩率、分娩期間、産仔数と産仔の雌雄比率を調べた。3F4世代マウスで、妊娠18日後の胎仔・胎盤数、胎仔の異常の有無、卵巣重量について比較した。4F3世代マウスを生涯飼育し、生存日数と死亡時の異常を観察した。
  • 親世代、F1およびF2世代で飼料の採食量と体重の推移に両群間の差は認められず、Bt11へのマウスの嗜好性は通常のトウモロコシと差がないと考えられた。また、繁殖成績でも平均産仔数、雌雄比率には差が認められなかった。
  • F4世代で繁殖成績をより詳しく調べたが、交配による受胎率や膣栓形成率、妊娠18日齢における総子宮重量、平均胎仔重量、平均胎盤重量、平均卵巣重量、一腹当たり胎仔数・死亡/吸収胎仔数に両群間の差は認められなかった。
  • F3世代の生涯飼育では生存日数に両群間の差はみられなかった(表、図)。
  • F3世代での肉眼的な腫瘍の発生率に両群間の差は認められなかった。病理組織学的検査では、肺腺癌、肝細胞腫瘍、悪性リンパ腫、組織球肉腫、間葉系腫瘍などの自然発生腫瘍がみられたが、両群間の差を認めなかった。
    以上の成績は、遺伝子組換えトウモロコシBt11の給餌がマウスの繁殖と生存性に影響しないことを示している。

具体的データ

表.F3 世代マウス生涯飼育試験での生存日数に関する基本統計量

 

図.F3 世代マウス生涯飼育試験での生存曲線

その他

  • 研究課題名:マウス2世代繁殖成績及び生存性に及ぼす組換え体利用飼料の影響評価
                      マウスの生存性に及ぼす組換え体利用飼料の影響評価
  • 課題ID:13-06-03-*-16-04
  • 予算区分:委託プロ/消化管内生産物(1230)、交付金
  • 研究期間:2000~2004年度
  • 研究担当者:三浦克洋、佐伯隆清、三上 修、中島靖之、羽龍芳彦、田口葉子
  • 発表論文等:佐伯(2004)農林水産技術会議事務局研究成果第422集 29-33.