日本でオオハクチョウから分離されたH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスは過去の発生ウイルスとは遺伝的・抗原的に異なる

要約

2008年4月、秋田県の十和田湖畔で死亡したオオハクチョウから分離されたウイルスはH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)であり、遺伝的・抗原的解析により過去に国内で分離されたHPAIVとは異なる。

  • キーワード:H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザ、オオハクチョウ、野鳥
  • 担当:動物衛生研・人獣感染症研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-7708
  • 区分:動物衛生
  • 分類:行政・普及

背景・ねらい

2008年4月、秋田県十和田湖畔で死亡したオオハクチョウがH5N1亜型HPAIVに感染していたことを確認した。本件は家禽の発生を伴わない国内初の野鳥単独感染例である。オオハクチョウから分離されたウイルス(A/whooper swan/Akita/1/2008: WsAk08)について、遺伝的および抗原的解析を行い、過去に国内で分離されたHPAIVとの関連を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • HA遺伝子の系統樹解析では、WHO/OIE/FAOの分類によるクレード2.3.2に属し(図1)、赤血球凝集抑制試験よりHAの抗原性が過去に日本で分離されたウイルスとは異なっている(表1)。従って、以前に日本で発生した高病原性鳥インフルエンザの再発ではない。
  • 4月はオオハクチョウの日本への飛来時期ではないため、国外から侵入したウイルスに日本国内で感染した可能性が考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 家禽での発生無くして野鳥が国内で感染した可能性が示されたことから、環境省による野鳥におけるHPAIV対策が強化されている(野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る都道府県鳥獣行政担当部局等の対応技術マニュアル 平成20年9月)。
  • 今回の成果は、今後新たなウイルスが予想できない経路により我が国に侵入する危険性が存在することを示しており、従って高病原性鳥インフルエンザの国内防疫対策を強化する必要がある。
  • 同時期に青森県および北海道で発見された死亡オオハクチョウから分離されたウイルスはWsAk08と遺伝学的に非常に近縁であった。

具体的データ

図1.H5N1HPAIVのHA1領域の系統樹解析(1572bp)

表1.赤血球凝集抑制試験による抗原解析

その他

  • 研究課題名:新興・再興人獣共通感染症病原体の検出及び感染防除技術の開発
  • 課題ID:322-a
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2008年度
  • 研究担当者:内田裕子、真瀬昌司、米田久美子(自然環境研究センター)、
                      熊谷清孝(秋田県中央家畜保健衛生所)、木村 衆(秋田県中央家畜保健衛生所)、
                      小原 剛(秋田県中央家畜保健衛生所)、西藤岳彦、塚本健司、山口成夫
  • 発表論文等:1)Uchida Y. et al. (2008) Emerg. Infect. Dis. 14(9): 1427-1429
法人番号 7050005005207